読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

おちゃっぴい 大江戸八百八 堀川アサコ著 講談社 2015年

 連作短編集。
 ネタばれあります、すみません;

第一話 怪人
 幼馴染の桃助が行方不明になってもう6年。剣術道場六道館の師範代・巴と彫師の青治ももう桃助の生存を諦めていた。そんな折、江戸の町に流れる「生きミイラ」の不穏な噂。青治の元にやってきた博徒は、背中に彫られた訳の分からない言葉を隠してほしいと依頼した矢先に、死体となって発見される。どうやらその男は、岡っ引きの桃助が追っていた盗賊ハシ小僧の弟分だったらしい。ハシ小僧は生きミイラに殺されていたという噂、生きミイラは場合によっては商売繁盛のきっかけになるという怪談。桃助の仇を討ちたいと、巴と青治は動き始める。

第二話 太郎塚
 六道館では身寄りのない子を引き取って育てている。その一人、シゲが薬種店・結城屋に引き取られることになった。結城屋は大店だが幽霊が出る、という噂もある。シゲの養父・由十郎は実は二男で、もともと店を継ぐはずだった長男・長兵衛は気が触れてしまったのだとか。幽霊騒ぎと長兵衛とは何か関係があるのか。長兵衛とその妻子にまつわる過去話を聞いて、青治は一つの可能性に思い当たる。

第三話 雨月小町
 集まりに来て怪談話をしてくれ、と頼まれた青治。乞われるままに、以前とあるじいさんから、雨月小町を彫ってほしいと頼まれた一件を語り始める。心中未遂の若い娘を、縁あって娶った隠居の話を。

第四話 カタキ憑き
 深川の土手で、男の死体が見つかった。筋骨隆々たるその男は、津軽藩の浪人・加納源垂で、別の男に兄の仇として追われていたという。所が、思いを遂げた筈のその男も、自らを加納源垂と名乗り、実際加納の女房と一緒に暮らし始めた。やがて、殺された加納も、とある男を仇として追っていたことが判る。この事態の収拾は。 

第五話 蝶の影
 青治を「千早」と呼ばわる文が来て、青治は行方をくらませた。大家はすぐに次の店子を入れる始末、入居して来たのは俳諧師の水廉とその女房、ところが水廉は岡場所の女との事の最中に腹上死してしまった。どうも水廉は遅行性の毒で殺されたらしい、とその直前に会っていた菓子屋・臼屋唐右衛門に目を着けた所、唐右衛門も首をくくって死んでしまう。臼屋は同業者の杵屋に何か脅されていたらしい。やがて、この三人の過去の繋がりと、それに青治も関係していたらしいことが判ってくる。…


 本を手に取って、その安っぽいつくりに正直びっくりしました。装丁自体は悪くないんですが、本来なら帯に書いてあるようなことが表紙にそのまま書いてあるし、本文の紙質も悪いし。裏表紙には「このカバーを外すとペーパーバックになります」の文字、でもそれにしては、これ1550円もするんだよ?? …いや、図書館で借りて読んでる私が言うことじゃありませんが、でも、出版界不況なんだなぁ、とつくづく思ってしまった。
 色々突っ込みどころはありつつも、面白かったです。「あれ、これどういう状況?」と見失う箇所もあったのですが、何しろ私自身の記憶力の低下も酷いものなので; 第四話から出てくるイタコのお駒ばあさんが、いかにもこの作者ならではでしたね。
 これ、シリーズ化されるのかなぁ。そもそもはじめっからそういうのを狙ったような演出は、あまり好きではないのですが。