読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

米澤屋書店 米澤穂信著 文藝春秋 2021年

『満願』『王とサーカス』で「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」の国内部門1位でミステリーランキング3冠を2年連続で達成。

いま最も次回作が待ち望まれるミステリ作家・米澤穂信
次々と魅力的な謎を生み出す作家の頭の中はどうなっているのか? 米澤さんの頭の中を満たしてきたのはどんな本たちなのか。
作家生活20年の節目に、米澤さんの心を捉え、人気ミステリ作家を形作ってきた本を一気見せ。

米澤さんが20年にわたって、様々な媒体に書きためてきた書評やお勧め本、対談を一冊にまとめました。
「思うさまに大好きなミステリをお勧めしたい」という米澤さんの強い思いから、特別書き下ろし読書エッセイ「私の好きなミステリ」(120枚!)&オリジナルコメンタリー(180枚!)収録。
米澤穂信ファン、ミステリファン、これからミステリ作家を目指す未来の書き手必携の一冊。   (出版社HPより)

 …世の中はまぁ、なんと面白そうな本で満ちていることか…!
 米澤さんが語る本の話、とても楽し気で読んでるこちらまで嬉しくなってしまう。愛情に満ちて、とにかく読書量が半端ない。…と思ってたら、米澤さん「自分は読書家ではない」って、基準高ぇよ、自分に厳しすぎるよ!! 
 いやもう、色々気になる本がいっぱい。やっぱり泡坂妻夫山田風太郎は読んだ方がいいのかな、陳舜臣連城三紀彦、外国作家も凄まじい。全然読んでない本が続く中、『毒入りチョコレート殺人事件』や『ウサギ料理は殺しの味』(阪神淡路大震災の後、色々な本捨てた中で「これは残しとこう」と段ボールに入れたっけ)、『黒後家蜘蛛の会』等「私も読んでる!」書名が出てくるとわくわくしてしまう。『クローディアの秘密』読んだなぁ…!(遠い目)
 『東亰異聞』に『六番目の小夜子』、『昔、火星があった場所』や『安徳天皇漂海記』……米澤さん、日本ファンタジーノベル大賞チェックしてらっしゃいましたね?(笑)。
 初期のライトノベルレーベルからクリスティやホームズ、クィーンと言った古典も疎かにせず、そうか『六の宮の姫君』ってそんな革新的なミステリだったのか…! G・K・チェスタートンのG・Kってギルバート・キースだったのね~。
 紹介される本の重複を気にしてらっしゃる記述もありましたが、それで尚更「この本、面白いんだろうな、避けて通れない作品なんだろうな」と好もしく思えてしまう。 「自分の人生にとって音楽は潤色以上のものにはならない」って一節には泣きそうになりました。…私もそうだから。で、ちょっとした引け目も感じているから。
 装丁もいいです。本の山から飛び立とうとしている男の子も、落ち着いた渋い色合いの遊び紙も中表紙も。
 巻末には作品、作家の索引、さすが、よく分かってらっしゃる(笑)。
 有栖川有栖さん、朝井リョウさん、柚月裕子さん、麻耶雄嵩さんとの対談も楽しかったです。朝井さん、相変わらず心が狭い(笑)。それを言っちゃう所も清々しいし、米澤さんの包容力も素敵でした。