読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

マスカレード・イブ 東野圭吾著 集英社文庫 2014年

 『マスカレード・ホテル』前日譚。
 ネタばれあります、すみません;

それぞれの仮面
 山岸尚美がホテル・コルテシア東京のフロント業務に就いて間もない頃。
 尚美は大学時代に付き合っていた先輩・宮原と、ホテルマンと客として再会する。就職を機に別れた彼は、今では元野球選手のマネージャーをしているらしい。その夜、尚美は宮原に呼び出された。このホテルで会う筈だった不倫相手が行方不明になったので、探してほしいと依頼される。

ルーキー登場
 新田が捜査一課に配属されたばかりの頃。
 深夜、ジョギング途中の男が刺殺された。現場近くには何本もの煙草の吸殻、被害者の行動パターンを知っている者が待ち伏せての犯行らしい。だが現場を見た新田は、その不自然さから別の捜査方法を思い付く。果たして捕まった犯人は、被害者の妻に横恋慕をしている、と悪びれる様子もなく自供した。

仮面と覆面
 いかにもオタクっぽい風貌の男が四人、コルテシア東京を訪れた。新進気鋭の覆面作家タチバナサクラがこのホテルで缶詰めになる、との情報をどこかから仕入れて、一目会いたいと集まって来たらしい。だが、実際に「タチバナサクラ」として現れたのは五十歳前後の小太りの男だった。

マスカレード・イブ
 泰鵬大学の理学部教授が殺された。容疑者は同じ研究に勤しんでいた準教授、だがその日は京都の学会に出ていたという。新田は準教授が、犯行日を一日勘違いしていた上、何度も確認したことに引っかかっていた。
 その頃、山岸尚美はホテル・コルテシア大阪に、教育係として勤務していた。新田と組んだ女性刑事に、犯行当日、准教授が泊まっていたかのアリバイを確認される。…


 う~ん、新田刑事って、こんなにイヤな奴だったっけ(笑)。
 面白かったです。短編なのに密度が濃い。どの話も謎を解いた後でもう一捻り、ミステリのお手本のよう。
 山岸尚美の有能さも堪能できます。この観察眼は凄い。濃やかな心配りもこの観察眼があってこそ、だとは思うんですが、でも彼女の恋人になる人は大変だろうなぁ(苦笑;)。下手すると心休まる時がないかも。
 長編『マスカレード・ホテル』を読んだ時には、これはシリーズ化は難しそう、と思ったのですが、短編を積み重ねて行く、こういう方法もあったんですね~。で、『マスカレード・ザ・デイ・アフター』も書かれるんでしょうか。やっぱりその後は難しそうな気もするんですが、読んでみたい気は山々です。