読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

若様とロマン 畠中恵著 講談社 2016年

 一見平和そうに見える明治の世の中に、不穏な空気が漂いはじめていた。
 数年以内に”戦争”が始まるかもしれない――。
 成金のひとり、小泉琢磨は、戦へと突き進む一派の意向をおさえるべく、動いていた。が、このままでは開戦派のやりたいようになってしまう、そう懸念した琢磨は、今いる仲間以上に人を集めようと考える。そしてその秘策がなんと、「若様たちのお見合い」だったのだ!
 お見合いをさせ、縁組みをし、開戦派に対抗する同士を増やそうというその魂胆、果たして?!  (帯文より)


園山・運動会
 園山に見合い話が来た。相手は太田駒子という女学生、年の離れた相手との縁談がどうも意に染まず、断る口実として園山との話を受けたという。見合い場所は何と女学校の運動会、しかもその相手も見に来るのだとか。

小山と小沼・川開き
 父親の懐中時計が掏られた事件を解決してほしい孝子、いわれのない不義を言い立てられて離縁された叔母を持つ弥生。どうやら同じペテン師が関わっているらしい。相談された小山と小沼は、両国橋の川開きの人混みの中、そのペテン師を探すことになる。

加賀・百花園
 加賀は見合い相手の八重花に一目惚れした。だが八重花はこれまで三度も見合い話が流れている。その原因は瀬木大尉、兵站として軍が仕入れた小麦粉がとにかく粗悪品で、それに八重花の伯父・安原大佐が関わっていると考えて、八重花にまで横やりを入れているのだ。八重花にいい所を見せるためにも、加賀は真相究明に乗り出す。

長瀬・居留地
 とうとう長瀬にも見合い話が持ち込まれた。その席でお相手・水柿あやのは、女学校で噂になっている謎を口にする。流行遅れになっているようなドレスを買い集めている人物がいるらしい、とのこと。やがて判明したその人は、あまりにも馴染みの人物だった。

真次郎・亜米利加
 真次郎が亜米利加へ、菓子修行に行く話が持ち上がっている。沙羅も、英吉利へ商売を勉強しに留学したい、と言い出して父親の小泉当主は大激怒。だが沙羅は、英吉利につてのある友人を自分で探し出し、一人でも計画を実行するつもりでいる。その頃、小泉当主が暴漢に襲われるという事件が起きて、若様たちはその警護に当たることになった。…


 シリーズ三作目。初めは主役を張っていた真次郎も、すっかり脇に回ってしまいましたね。とかいいながら、若様たちの区別はあまりついてないんですけど(苦笑;)。
 やっぱり少々無理があるんではないかしら、という展開。とりあえず、真次郎も沙羅も日本を去ってしまいました。…しかし、菓子修行のためにアメリカ?? …いや、それはフランスとかの方がよくないかなぁ; 明治の時代からしたら「西洋菓子」って段階でひとくくりなのかな。
 さて、長瀬は大学に行くんでしょうか。きな臭い世相の中、どういう展開になるのやら。
 表紙は相変わらずの可愛らしさでした。