読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ヘブンメイカー スタープレイヤーⅡ 恒川光太郎著 角川書店 2015年

 シリーズ2冊目。
 ネタばれあります、すみません;

 気が付くと殺風景な部屋にいた高校二年生の鐘松孝平。彼は横須賀にむかってバイクを飛ばしている最中に、トラックに幅寄せされ……その後の記憶はなかった。建物の外には他にも多くの人々がおり、それぞれ別の時代と場所から、「死者の町」と名付けられたこの地にたどり着いたという。ある程度生活の基盤ができた所で、彼らは志望者を募って探検隊を結成し、町の外に足を踏み出す。
 一方、片思いの相手を亡くし自暴自棄になった大学生の佐伯逸輝は、藤沢市の砂浜を歩いていたところ奇妙な男に勧められクジを引く――。いつのまにか見知らぬ地に立ち、“10の願い"を叶えることができるスターボードという板を手渡された。佐伯は己の理想の世界を思い描き、異世界を駆け巡ってゆく。
 ストーカーに刺殺された想い人・華屋律子を甦らせ、藤沢市をそのまま呼び出す。二人だけの生活はやがて他の地から来た来訪者に会うことで阻害され、律子は佐伯から離れていく。
 一人旅に出た佐伯は先住民の都イストレイヤを訪れ、階級制度や差別意識を目の当たりにする。道連れとしてロデム人の奴隷・レビを買い取り、宗教都市ギーナへ、そこで「サージ」と呼ばれるこの世界での称号を手に入れて、さらにシェーンヒメルへ、もう一人のスタープレイヤー・マキオに会う。
 長い旅の末、レビの故郷を訪れ佐伯。多民族から迫害されるばかりだったロデム人の安住の地として、都市バベルを創造した。さらに、「死者の町」も。そして、自身は姿を消す。指導者を失い、混乱するバベル。そこに、「死者の町」ヘブンから、使者として孝平たちがやって来た。…        (前半、帯文を写しました)

 一冊目の内容を設定くらいしか覚えていない状態だったんですが(←こらこら)、いやぁ、面白かったです。ほんのり覚えている前作の登場人物が、ちらほら出てきたのも嬉しかった。
 前半はそれでも、多少ゆるゆると読んでいく感じだったんですが、後半スピード上がりましたねぇ。特に「死者の町」ヘブンとバベルの関係が明らかになっていくあたり、ぐいぐい惹き込まれました。
 「亀人間」とか、よく思いつくよなぁ。眉を顰める展開ではあるんですが、でもそこまで描いてこそのカタルシスなのかも。バベルの一時的な後継者になったカインクロウへの罰なんかは、なるほど、と思いましたし。
 最後、主人公が全てを忘れてしまうのは、やっぱり残念な気がしたなぁ。色々な体験をして、自分のやりたいこと、好きなことも見つけて、成長もしていただろうに。今後に役に立っていただろうに。まぁ、それは最初からの設定なんですけど。
 三作目、四作目と続くんでしょうか。どういう展開になるのか、それともこの設定で主人公だけ変わって行くのか、それも楽しみです。