読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

三途の川で落としもの 西條奈加著 2013年 幻冬舎

 連作短編集、になるのかな。
 ネタばれになっている気がします、すみません;
 
 志田叶人は12歳、小学六年生。橋から落ちて、生死の境を彷徨っている。
 三途の川のほとりで奪衣婆(ダ・ツ・エヴァ)や懸衣王(県営王)と出会い、死者の魂の行方について聞くうち、何だかんだで三途の川の渡し守の手伝いをすることに。
 渡し守の名は因幡十蔵と虎之助。二人とも前世で散々人殺しをして輪廻の枠から外れた死者だが、性格は大分違うよう。この世に未練のある死者を船に乗せて渡り始めたが、死者は何かと現世を気にして戻りたがる。
 娘に自分の角膜を移植させたい母親、引き籠りの息子を立ち直らせようとして殺されてしまった父親、渋谷の交差点で無差別大量殺人を犯した青年。死者の未練を浄化して地蔵玉と呼ばれる魂を連れ戻すたび、やがて十蔵の過去や虎之助の罪も、その真意も明らかになっていく。そして、叶人本人が橋から川へ落ちた原因も、このまま死んでもいい、と言った叶人の本意も…。


 面白く読んだんですが、最後の最後で首を傾げてしまいまして。いや、個人的な好みなんですけど。
 …これ、いかにも続きそうなんですよね。
 さあシリーズものになりますよ、っていう終わり方は私好きになれなくてですね。この一作に全力を注げよ、とちょっと思ってしまうんですよ。
 馴染みのない言葉を自動変換して勘違いをしてしまう現代っ子と江戸時代、戦国時代の人々のやり取りなんかは面白かったです。この間読んだ漫画『鬼灯の冷徹』もあいまって、地獄極楽の情景も親しみ易かったし。
 シリーズになるのかなぁ、これ。