読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

閻魔の世直し 善人長屋 西條奈加著 新潮社 2013年

 『善人長屋』シリーズ二冊目。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 加助が迷子の子供たちを連れて来た。結局父親は出てきたのだが、丸二日、山中で怪我をして動けなかったので家に帰れなかったという。怪我をした理由というのが、二人組の男の、不穏な会話を耳にして追い掛けられたから。果たして、その言葉通りに惨殺された人物がいた。辻屋の親分。裏社会では名の知れた香具師の元締めである。
 これを皮切りに、裏社会の大物が次々に襲われて行く。大盗人 月天の長兵衛、巾着切の大元締め 石火の伝造。下手人は閻魔組と名乗る三人組で、瓦版屋に犯行声明を出すふてぶてしさ。自分たちは正しいことをしているのだと主張する。そのうち、評判の悪い与力や同心までターゲットにされ始めた。
 ただ、裏社会の重しが取れたことで、犯罪自体は際限なく増えて行った。加助の以前のお見合い相手まで押し込み強盗に殺されて、善人長屋の面々は立ち上がる。このまま閻魔組を放っておけない。やがて閻魔組自体も、罪のない人々を襲い始めた。
 閻魔組の後ろに、彼らを操っている人物が見え隠れし始める。因縁深い相手夜叉坊主、今度こそ逃がす訳にはいかない。
 お縫は密かに思いを寄せる定廻白坂長門が、閻魔組の一人ではないかと疑い悩み始める。いよいよ夜叉坊主との決戦の日、白坂の姿も見えなくなった。果たして閻魔組とは。…


 前作より面白かったんじゃないかなぁ。…とか言いながら、私、実は前作をほとんど忘れていたんですけどね(爆!)。覚えていたのはただ一つ、加助が他人のいい所ばかりを、意識して見て信じ込むようにしている善人だと言うことのみ。でも今回加助はほとんど出て来なかったし。
 真面目一本やりだった人物が、その潔癖さを利用され、落ち込んで行く切ない話。理想は持っててもいいと思うんですけどね。清濁併せのむ、ってもねぇ。
 ミスリードにはすっかり嵌りましたよ、騙されたなぁ、ちっ(笑)。