読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

文明の子 太田光著 ダイヤモンド社 2012年

 連作短編集。…になるのかな;

 光と風
 宇宙のどこか、鳥が文明を築いた星で、鳥の少年ピピにおじいちゃんが、何百年も昔の英雄イシについて語る。

 栄光の夜
 死の間際、ジャズ歌手のカラーが「戻りたい」と思った時は。

 生か? 死か?
 23世紀初頭。天馬博士が発明した、人類の望みを叶えるマシン・ヴェガに、人類は未来を託すことにした。マシンから現れたものは。
 
 マナブとソラ
 犬や鳥や、色々なものの声が聞こえる少年マナブ。いつも一人の彼は、子犬のソラに「鳥になりたい」と語る。

 プレゼント
 サンタクロースの目の前で、レノンが撃たれた。犯人の男に贈るプレゼントが、サンタには思いつかない。

 ツーキッズ
 マナブはある日、空飛ぶクジラに乗った少年ワタルに出会う。

 降りなかった王様~首相はつらいよシリーズ1
 童話作家になりたかった青年は、兵士となって死んでいった。青年からお話を語られていた妹は、後に作家になる。

 雲のパレード
 とある歴史学者の死に、否定的なコメントする若き小説家。歴史学者が大切にした想像力を、彼も持ち合わせていた。

 空はきっと
 ワタルとマナブはクジラに乗って、宝島へ向かう。

 ダーウィン
 みっともない母ネズミから産まれた子ネズミ・ダーウィン。でもダーウィンは母親のことを、ちっともみっともないとは思わなかった。

 空から降る白い雪
 シロは、ユキのことが大好きだった。でもユキはぼくほどには、シロのことを好きじゃないみたいだ。だけどシロは、とんでもないことから、その考えが間違っていたことを思い知らされる。

 玉子太郎~首相はつらいよシリーズ2
 腹ペコ村に流れ着いた大きな玉子から産まれた玉子太郎。鬼ヶ島へ鬼退治に向かいます。

 ピーター・パン
 全国の養護施設から、一斉に消えた子供たち。とある男が、その子供たちを先導した人物に心当たりがあると言う。

 出来損ないのヒーロー
 とある国の、模倣ばかりのキャラクターたちを否定するコメンテーター。しかし彼の幼い頃のヒーローは、父親が買ってきたウルトラマンの模倣品だった。

 傍観者~首相はつらいよシリーズ3
 熟年離婚の危機、妻は積年の思いを娘に投げつける。

 彩られた羽
 高い知能を持ったまま逃げ出した実験用のマウス。今、彼は瀕死の状態で横たわっていた。核ミサイルに繋がるコードを噛みちぎって。

 大いなる計画
 2101年、4月。人口増加率が安定した未来。親が捨てた子供を引き取る養育施設「ユリカゴ」は、不自然な数字を叩き出していた。

 贈り物
 1980年、12月8日。レノンを撃った男へのプレゼントを思いつかないサンタ。やがて、もう既に、男はジョン・レノンからプレゼントを贈られていたことに気付く。

 モンスター
 実験の失敗により、別次元への穴があいてしまった。暴走する現象を止めるため、悟は研究所破壊を決意する。モンスターである自分を愛してくれた灯に、これからの未来「卵」を託して。

 文明の子
 クジラの上で、ワタルとマナブは黒煙をあげる島を見た。そこで見知らぬ女性から、「卵」を受け取る二人。二人は次元を越えて、別の星へ卵を届ける。

 博士とロボット
 この星で、たった一人生き残った博士。博士は自分の声に反応するロボットを作る。やがて年老いて、声が出なくなった博士を、ロボットは理解し捜そうとする。

 根拠無き確信
 鳥が高度な文明を築き上げた星に到着した宇宙飛行士。年老いて、もう二度と地球へは戻れないだろうと話す彼に、鳥の老人が問いかける。…


 やっぱり、太田さんはロマンチストだなぁ。
 根底に流れるのは温かな眼差し、人への信頼。シニカルにまとめていても、根本では人を、人が作ったものを信用していると言うか信用したいんだろう。
 『モンスター』の、悟の灯への言葉「キミがこれからすることは全て正しい」には泣きそうになりました。一体誰へのメッセージなのか。
 本の内容というより、太田光という人物を透かして見たような気がします。…著者が有名人だから、まぁ仕方ないですね。私は爆笑問題のファンなので、まっさらな気持ちでは読めないなぁ。