読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

飲めば都 北村薫著 新潮社 2011年

 連作短編集。

 小酒井都はとある出版社に勤める女性編集者。理性的に見えて、実は結構イケるクチ。ただ、飲みすぎると記憶が無くなる。一緒に飲んでいた人に大概迷惑をかける。歴代の上司の腕を締め上げ、編集長のシャツに赤ワインをぶちまける。大切な原稿が入ったバッグを置き忘れ、振られた腹癒せに一緒に呑んだ先輩のブランド鞄を台無しにする。
 諸先輩方の恋愛事情を横目で見ながら、ちょっといいな、と思った殿方とお酒を飲んで、翌日記憶がない自分に大慌て。婚約まで辿り着いたものの、大切な「相手の両親への御挨拶」の日に寝坊する。結婚披露パーティでは象鼻酒を賞味。ここで醜態をさらしたのは別の編集長だったが、それはまた別のお話。…


 私はお酒が飲めません。ビール一杯も飲みほせず、そのうち心臓がばっこんばっこん打ち出して、「…ああ、私、このまま飲んでたら死ぬなぁ…」と本気で思います。美味しくお酒の飲める人が羨ましいです。…でも、酔っ払いは大嫌いなんだよッッ!!
 で、この話です。酔っ払いが次々出て来ます。飲めない私からしたら、理解不可能な行動ばかりなんですよ。記憶を無くすほど飲むって何、それで散々怪我したり恥かいたり気分が悪くなったり、目覚めて青ざめるような目にあっておいて、なのにしばらくしたら同じことを繰り返す。
 …学習能力ないのかよッッ! 北村さんの筆をもってしても、なかなか好意的に読めませんでしたねぇ(苦笑;)。
 登場人物やエピソードは相変わらず魅力的、多分に実話が入ってるんだろうな、とも思いつつ。でも主人公が振られるエピソードや女同士の会話「この中で私が一番幸せ」のくだりなんかは、これは有川浩さんが書いた方がこちらにもっと響いたんだろうな、とか思ってしまった。
 気が利かない月形君の、突然のエッセイ打ち切り話への説諭も疑問でしたね~。あの説明で納得できるのかな。モチベーションでいうなら、例えば終わりが見えていたら、どういう方向で終わろうかとか、じゃあ今まで書く機会を逃していたあの話を書こうとか、有終の美を飾る方に神経を使って貰えるだろうとか説得した方が月形君みたいなタイプには分かり易いんじゃないかな。
 何だかんだで最終的には全てを手に入れてるような主人公がちょっと業腹かも(苦笑;)。素直に読めなくなってますね~、残念;
 そうそう、30でこぼこって表現、落語から来てたのかぁ。私普通に使うので驚きました。