読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

マリアビートル 伊坂幸太郎著 角川書店 2010年

 ネタばれになってるかも、すみません;

 東京駅から発車する東北新幹線<はやて>の中で、木村雄一は王子を殺そうとしていた。王子は木村の子供・渉を屋上から突き落とし、瀕死の重傷を負わせた中学生だった。だが、木村は王子に拘束されてしまう。
 蜜柑と檸檬は雇い主・峰岸の息子の救出とトランクの護衛を頼まれていた。首尾よく監禁されていた息子を助け出し<はやて>に乗り込んだものの、息子は殺され、トランクは失くしてしまう。
 七尾は仲介屋の真利亜から、<はやて>内のトランクを奪って次の上野駅で降りるよう指示を受けていた。いざ上野駅で降りようとすると、過去に因縁のある「狼」と偶然出食わしてしまった。七尾は上野駅で降りられず、勢いで「狼」を殺す羽目になってしまう。
 七尾は「狼」の死体を指定席に座らせてトランクをダストボックス脇のパネルに隠す。王子はそれを偶然見つけ、取り出して木村にダイヤル鍵を開けさせる。おかげで七尾は大宮駅でも降りられなかった。
 蜜柑と檸檬はトランクと、峰岸の息子を殺した犯人を見つけ出そう、ことによるとでっち上げようとする。子供らしさを装って、王子は大人たちを翻弄する。「狼」が標的の写真を持っていたことから、七尾は息子を殺した犯人が「スズメバチ」と呼ばれる同業者であることを推測する。
 機関車トーマスの登場人物、引退した寝起きの悪い業者、「押し屋」槿、人のよさそうな塾講師・鈴木。
 走る<はやて>、増えて行く死体。様々なエピソードが関連し、やがて東北新幹線盛岡駅に着く。そこには事態を察した峰岸が部下を総動員して待っていた。…

 あれ、似たような作品を以前読んでたよね??と思いつつ。…そうか、『グラスホッパー』だぁ。すっかり忘れてる人物もいましたが、関連してる登場人物結構出てますよね。
 『グラスホッパー』より読後感よかった気がします。王子の本性に檸檬が気付き蜜柑が気付き、それでも…って段階になってもうひと押し。はらはらしました。そう、王子はこのまま放っといちゃいけないよね、って思いましたもの。その結果は一応見せない、ってのが伊坂さんの節度なのかなぁ。そう言えば、王子がトランクから取ったカードって、後々どこかに出て来てましたっけ? 私が読み飛ばしただけ??
 あっさり結構ひどいことしている七尾さん、好感度高いなぁ。まぁ、相手は同業者ばっかりだったからいいかな。運がいいのか悪いのか、最終的には良かった気がしますけど。
 記憶力が衰えて、「これ誰だっけ」「何か知ってる気がする」的な感じになってしまった所もありましたが、でもエピソードが繋がって行くのは爽快でした。