読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

僕僕先生 仁木英之著 新潮社 2006年

 第18回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
 多少のネタばれあります、すみません;

 中国は唐の時代。
 地方官吏だった父親の貯えを当てにして、毎日ぐうたら過ごす青年・王弁(22歳)。隠居後道教にかぶれた父親の使いで、黄土山の仙人の庵を訪ねる。病に苦しむ老若を治して回っていると評判のこの仙人、何と可愛らしい少女の姿をしていた。齢数千年、自分の生い立ちも忘れたという仙人に、王弁はほのかに恋心を抱く。少女仙人・僕僕も彼を気に入った様子、不思議を嫌う役人に目を付けられたのを幸いに、王弁を連れて旅へと繰り出す。
 淮水から渭水へ龍脈を通って移動し、都では当代きっての仙人とともに皇帝に拝謁。太原府では犬頭の商人と出会って夫婦喧嘩を仲裁、一駆け数万里の馬に乗って不思議な世界に飛んだなら、この世の始まり・渾沌に飲み込まれたり。帰り道の汴州では、かつては天災として恐れられた蝗の大群を、人の技で見事に撃退するを見る。
 人の世ではもう、不思議の力は必要ないのかもしれない。仙人達は俗世を離れて蓬莱に引き上げるべきだ。仙人・王方平の主張は、多くの仙人達の賛同を得て僕僕の元へ届く。
 到底賛成できない僕僕。僕僕から医術を教わっていた王弁も、先生と離れたくない。だが仙術を信じない役人は、僕僕の庵を襲う。僕僕は王弁の元を去る。杏の種をその手に残して。…

 日本ファンタジーノベル大賞は必ずチェックするようにしています。もう最終選考作品まで。だって鈴木光司恩田陸も、畠中恵も輩出してるんですよ、当たった時がとにかく大きい(笑)。
 今回の受賞作は中華風ファンタジー。まぁなんとのんびりと可愛らしいこと。二人のいちゃいちゃ具合が微笑ましい(笑)。ふわふわとエピソードが綴られて行くので、どう盛り上げるのかと思いました。
 中国の神話や歴史の知識が私にあれば、もっと楽しめたんだろうなぁ。則天武后って何となく暴君、暗君のイメージがあったのですが、そんなことなかったんですね~。
 ラスト近辺、連想したのは何故か『ハクション大魔王』最終回(爆)。
 でも僕僕先生、お迎え早すぎるでしょう。50年、60年経って王弁がすっかりおじいさんになってから、ってのが定番だと思うんですが、で、その方が泣けると思うんですが(笑)。
 ニートの青年をやる気にさせる、恋ってすごいなぁ。
 装丁も可愛らしい一冊でした。