読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

安徳天皇漂海記 宇月原晴明著 中央公論新社 2006年

 山本周五郎賞受賞作。歴史伝奇小説。

 建暦元年、二十歳の征夷大将軍源実朝鴨長明と謁見。壇ノ浦で波間に沈んだ幼帝・安徳、共に沈んだ三種の神器。うち八咫の鏡と八坂瓊の勾玉はすくい上げられ内裏に納められたが、草薙の剣だけは未だ行方知れずと教えられる。八岐の大蛇の生まれ変わりとも言われる安徳天皇・言仁は神剣をその身に抱いたまま、四つ目の神器・真床追衾に包まれ生きていた。言仁は夜毎夢枕に立ち、遊び相手を誘うように兵を募る。和田義盛が呼ばれ、頼家の子・栄実禅師が呼ばれる。どちらも北条義時に討たれる。尚も続く天変地異。
 荒ぶる魂を鎮めるため、実朝は高丘親王の故事に倣い、安徳を天竺に送ろうと画策。だがそれは却って唐船を呼ぶ結果になる。実朝は自分の首を捧げて塩乾珠・塩盈珠を得、後を忠実な側近に託して、安徳と共に天竺へと旅立つ。
 1277年。クビライ・カーンに大都を追われた南宋の少年皇帝・趙昞は、不思議な珠に包まれた少年天皇・安徳と出会う。境遇の似た二人は夢の中で逢瀬を重ね、友人となる。クビライの命を受け趙昞の元を訪れたマルコ・ポーロは、ただの言い伝えでしかなかった安徳の姿を見て驚愕。宋が亡び趙昞が海に没して後、もう一度海中から安徳を引き上げ、今度こそ高丘親王の最後の地に、彼を導く。…

 五月に予約してやっと読めました。
 宇月原さん、今度の舞台は源平かぁ、ますます基礎知識がないぞ、中学国語の教科書レベルもあるかどうか; ゲーム『遙かなる時空の中で 3』とかやっとくべきだったか、確か北条政子を『サザエさん』に例えたらカツオくんがタラちゃん殺したんだっけ、等々一人ぶつぶつ突っ込みながら読み始めたのですが。
 大丈夫やん、それで十分面白い!
 今までの話とは違って上へ下へと揺さぶられるのではなく、穏やかにうねる感じ。哀しくて悲しくて、実朝かっこいいわ、安徳可愛いわ、趙昞可哀想だわ、誰もが切ない。
 安徳を模倣て、玻璃の器を作る趙昞。しかしそれは棺となる。漸くできた友を失い、血の涙を流す安徳。惹かれるしかできない色目人マルコ・ポーロ
 ここにこれが繋がるかぁ!って感動まで頂きました。
 この人、どんどん読み易くなってるなぁ♪