読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

カポネ 佐藤賢一著 角川書店 2005年

 アルフォンス・カポネはイタリア移民の子として育った。貧しいイタリア街で満足に学校にも行けず、裏社会に足を踏み入れる。アイルランド系の女性と結婚して一旦は堅気になるが、父親の死をきっかけに、老いた母や幼い弟妹を養うためまた違法手段に手を染める。恩人であるジョニー・トリオを追い落とし抗争相手を蹴散らし、禁酒法を逆手に取って莫大な財産を築いたカポネは、同じイタリア系移民達に惜しみない援助の手を差し伸べる。
 エリオット・ネスは北欧系移民の子として中流階級に生まれる。「自由の国」アメリカの恩恵を十分に受けて育った彼は、アメリカの決めた法律・禁酒法を破るカポネ達が許せず、カポネを禁酒法違反で検挙することに拘る。ネスの行動をスタンドプレイとしか見ない上層部との確執の結果、カポネは脱税犯として逮捕され(でも実は自首なんですが)、騙し討ちにも似た刑を受ける。…
 カポネ、かっこえー。映画「アンタッチャブル」しか知らない私には意外な事だらけで面白かったです。ネスが、大きな存在カポネに必死に認めて貰おうとする若造だったり、脱税容疑の裁判に否定的だったり、禁酒法廃止後は捜査官クビになってアルコールに溺れたあげく轢き逃げ起こして失脚してたり。
 著者の「語るぜ語るぜ、俺は語るぜ」な文体は相変わらず。その割には前半波に乗れないな、と思っていたのですが、中盤頃から一気でした。しかし、「一番いい所でぶった切って、次の章で全てが終わった所から書く」手法、この作品では使いすぎだと思うんですが; 「え、あれはどうなったの?(どきどき)」ってのもあんまり多くなると「また勿体ぶって」と飛ばし読みしたくなってしまう; 
 佐藤さんの作品は、この頃濡れ場が少なくなった気がする。男の欲望満たすためのもの、って感じの書き方で、もともと私はあまり好きではなかったのですが、…娘さん生まれて何か価値観変わったのかしら?(笑)