シューバルトの蔵書寄贈セレモニー中にヨハンを狙撃しようとミュンヘン大学の図書館に潜むテンマ。だが決心が着かぬ間にロベルトに見つかり、銃を奪われる。ヨハンの手配によって図書館は炎に包まれ、騒乱の中、ニナが到着。ニナはヨハンを撃ち殺そうとするが果たせず、テンマに救出された後 Dr.ライヒワインと知己を得る。
やはり火災の中テンマの助けられたシューバルトは、息子カールをドレスデンに向かわせる。テンマはカールから、双子の母親の情報を得る。同じころ、ニナは幼い頃の記憶を辿り、「おとぎの国のような街」「三匹のカエル」を絞り出していた。
ドレスデンからプラハへ向かう列車の中で、テンマはグリマーと名乗る男と出会い、窮地を救われた。フリーのジャーナリストのグリマーは旧東ドイツの511キンダーハイムについて調べており、元院長のビーアマンを訪ねる所だった。
チェコで、孤児を集めて一緒に暮らしているビーアマンを不審に思うグリマー。だが、接触直後にビーアマンは金髪の女性に殺される。グリマーは遺言により511キンダーハイムの研究資料を託され、結果元チェコスロバキアの秘密警察に狙われることに。拷問を受けた末、グリマーの中の”超人シュタイナー”が目覚め、秘密警察の面々を殺してしまう。グリマーは511キンダーハイムの出身者だった。
秘密警察の仲間に現役の警部がいたことから、事はチェコ警察の汚職事件にまで発展した。若手の刑事スークは、信頼していた上司の不祥事が次々と発覚、その不審死に疑心暗鬼に。そんな彼に、金髪の美しい女性が近付いて来る。
容疑者としてグリマーを追うスーク。だが、実際に会ってみて、スークにはグリマーが犯人だとは思えない。グリマーと共にビーアマンの遺した音声テープ内容を途中まで確認し、グリマーはスークに証拠品を預けるが、スーク自身殺人への関与を疑われ、本庁刑事から追われることに。グリマーと生まれ故郷へ逃げたものの、何者かに銃撃され、グリマーの中の”超人シュタイナー”がまた目を覚ます事態に。一方、テンマもスークの事件に自分との共通点を感じ、スークを追ってグリマーと再会する。
スークを襲ったのは旧チェコスロバキア秘密警察だった。幹部のカレル・ランケ大佐は、研究資料を欲しているドイツ人がいることや、自分の甥を511キンダーハイムに送ったこと、旧時代彼の把握していないところで動いていた男 フランツ・ボナパルタの存在を明らかにする。
フランツ・ボナパルタ。又の名をクラウス・ポッペ、エミル・シェーベ、いくつものペンネームを持つ絵本作家。”なまえのないかいぶつ”の作者。この絵本を手掛かりにして、ルンゲ警部もプラハへやって来た。
古本屋巡りから出版社へ、途中スークの事件を知って やはりその類似性に気づき、スークの病院へ、さらにスークを保護するランケ大佐へ。ルンゲは、かつてフランツ・ボナパルタが住んでいたバラの屋敷の最奥の部屋の、塗り込められた扉を開く。
同じ頃、テンマはフランツ・ボナパルタのかつての担当編集者を訪問したことから、警察に捕まってしまった。…
図書館の本棚の上で一晩過ごしたテンマ、トイレはどうしたんだろうと下世話なことを考えてみたり(苦笑;)。
グリマーさん登場です。結構後半からだったんですね。ビーアマンの現在の孤児院には、男の子しかいないんだなぁ。当時、そういう施設は男女で分けるものだったんだろうか。
誰が味方で誰が敵か分からない、誰も信用できない。緊張感が高まる中、ルンゲは漸く「ヨハン」が実在することを信じ始めたようです。ニナも、小さい頃プラハにいたことや、もう一人の自分がいたことを断片的に思い出しました。…ニナ、サンダルとか踵の高い靴とか履いてるんですよね、何となく「スニーカー履けよ」とか思ってしまう(苦笑;)。愁いを秘めたニナは実はヨハンの女装、…それは体型的に無理がないかなぁ;;
次巻に続きます。