読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ロスジェネの逆襲 池井戸潤著 ダイヤモンド社 2012年

 半沢直樹シリーズ3冊目。
 ネタばれあります、すみません;

 東京中央銀行の花形部署から子会社「東京セントラル証券」に飛ばされた半沢直樹。新天地で2か月が経つも、なかなか結果の出せない半沢に、大きな案件が舞い込む。IT企業の雄「電脳雑伎集団」が、ライバルの「東京スパイラル」のM&Aを画策しているのだ。これにアドバイザーとして食い込めれば莫大な手数料が見込める。 半沢らが本格的に乗り出した矢先、アドバイザー契約が横合いからかっさらわれた。「敵」は東京中央銀行証券営業部。親会社が子会社の大口案件を横取りしたのだ。責任を問われた半沢の地位は危なく揺らぐことになった。 ――やられたら、倍返しだ。 世をすねたロスジェネ世代の部下・森山とともに半沢は立ち上がる。人事を盾にする卑劣な親会社に、仕事を通じて逆襲するのだ。 
 東京スパイラルの瀬名社長は太洋証券の提案を受け入れ、PC・周辺機器販売会社フォックスを、ホワイトナイトとして迎える。だがフォックスは、裏で電脳雑技集団と繋がっていた。半沢と森山はそれを見抜き、森山と瀬名が元々同窓生だったこともあって、東京スパイラルのアドバイザリーに就く。
 反対に、フォックスの買収にかかる東京スパイラル。行き詰った企業に見えたフォックスだったが、その子会社の可能性を森山が見抜き、半沢がマスコミを使って煽って見せた。
 東京スパイラルの株価は上がり、電脳雑技集団の買収は進まない。東京中央銀行はさらなる融資の追加を謀り、取締役会の審議にかける。だがその会場に、半沢が現れた。半沢は電脳雑技集団が、何故最初に東京スパイラル買収の話を、メインバンクではない東京セントラル証券に持ち込んだのか、不思議に思っていた。…  (出版社紹介文に付け足しました)

 元々馴染みのない経済の話なので、結構必死にストーリーを追いました。出てくるのがほぼおっさんで、「あれ、この人どこの誰だっけ?」と混乱することしきり、最初に載ってる人物相関図が有難かった~(笑)。
 でも面白かったです。シリーズ中で一番面白かったんじゃないかな。漸く、半沢の銀行マンとしての有能さが見れたような気がしました。
 そもそもどうして買収に走るんだ、まず業務提携じゃないのか、と思ってしまう私は善良なんでしょうね(苦笑;)。後半、東京スパイラルの株価が上がって来た時にも、もう中止にすればいいじゃん、株売り抜けたら儲け出るじゃん、それで十分じゃないのと思ってましたし。そしたら電脳雑技集団の方にもそうせざるを得ない理由が出て来て、最終的にそれがライバルたちの左遷先になる展開。なるほど「倍返し」!(笑) ただ、電脳雑技集団の平山社長たちが、この元銀行マンたちの助言を素直に受ける気になるとは思えませんが。
 半沢はまた元の銀行に戻って、スタンディングオベーションで迎えられててちょっとびっくり。こんなに認められて、好かれてる人だったの?? 「仕事は客のためにする」って言葉には、世の銀行マンが本当にそう思ってたらいいのに、と思わずにはいられませんでした。

 そうそう、ホワイトナイトと言うと思い出すのは阪急電鉄、その昔阪神電鉄村上ファンドに買収されそうになった時に乗り出してましたっけ。…ってすみません、もろに地元の話だったのでいまだに印象に残ってて。今回、縁のない企業買収の話の中、少しでも理解しようと無い知識絞り出してました。あとは『鏡の国のアリス』ですね、これは全然関係ない(苦笑;)。