読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

オレたち花のバブル組 池井戸潤著 文春文庫 2010年

 単行本は2008年刊。半沢直樹シリーズ2作目。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 巨額損失を出した一族経営の老舗・伊勢島ホテルの再建を押し付けられた、東京中央銀行半沢直樹。現担当の時枝は、前担当の古里からろくな情報がもらえなかったらしい。統合による会社内での派閥争いに巻き込まれ、ハメられた感のある時枝。同じ頃、金融庁検査が入るという情報が流れて来た。
 金融庁検査で分類債権と判断されてしまうと、そこへの融資はできなくなってしまう。伊勢島ホテルの湯浅社長の再建計画は、半沢には順当なものに思われた。だが運用損失を出した財務部門の羽根は、銀行の大和田常務と組んで、湯浅に退陣を迫る。また、金融庁の黒崎は、何故か伊勢島ホテルの投資事情に詳しい。
 半沢の同期生 近藤は心を病んでエリートコースから外れ、今はタミヤ電機に出向していた。田宮社長はろくな事業計画書も出さず、融資ばかり欲しがる。隠して見せたがらない決算資料を無理矢理探し出すと、とあるアパレル会社に三千万円融資していることが分かった。しかも全く返済されていない。近藤は密かにこの会社を調べ、大和田常務との関係に気付く。
 半沢は黒崎の追求から逃れられるのか、近藤は不正を暴けるのか。…

 そうか、前作では半沢の正常業務での有能さは示されてなかったんだな、と気付いた2作目。
 盛りだくさんでしたね~、上司の不正、内輪もめ、出向先でのいざこざ、金融庁の検査。性格の悪いヤツしか出て来ない!(笑) 金融庁なんて、横柄な態度にうんざりしましたよ。まぁお役所側からの言い分もあるんでしょうが。黒崎検査官の行動理由「お父さんの敵討ち」(←推測)に対する半沢の台詞「私情を挟んではいけない」には、思わず「お前が言うな!」と突っ込んでしまいましたよ。
 近藤さんの決断には驚きました。半沢もそれを責めることなく受け入れるのは、それだけ戻ることが難しいことも、仕事のやりがいも分かってるんでしょうね。
 半沢は左遷される、ってことでしょうか。上司の「戻ってこい」「オレがお前を引き戻す」に対する半沢の心の声には、「冷めてるなぁ」とびっくりしました。上司連中は浪花節的に感動すると思って言ったんでしょうね、半沢の気持ちは分かるけど可愛くないわ(苦笑;)。
 そうそう、序盤にあったエピソード「代手(だいて)ちょうだい」は『トリビアの泉』で紹介されてましたよね、あれ全部の銀行に通用する言葉じゃなかったのか~、で、今はもう使われてないのね~。何だかちょっと残念(笑)。