読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

日蓮 佐藤賢一著 新潮社 2021年

 天変地異、疫病の流行……災難が続くいま、救いの道を示せるのはこの男しかいない。
 鎌倉中期。人々は天変地異や疫病、飢饉に苦しめられていた。僧侶・日蓮は、為政者が悪法に染まり、仏たちがこの国を去ったが故に災難が続くと結論づける。鋭い舌鋒で他宗に法論を挑むが、それは浄土宗や禅宗を重用する幕府の執権・北条氏を敵に回すことでもあった――。
 苦しむ民を救うため、権力者たちと戦い続けた半生を描く感動作。 
                          (出版社HPより)

 時間がかかりました。何しろあまり興味のあることではなく(←おいおい)、佐藤さんの新作だ~、ってだけで手を出したもので。
 でもそこはそれ、慣れて来ると色々面白くなって来ましたね、とにかく知らないことばかりでしたし。浄土宗の南無阿弥陀仏が死後の救いで 法華宗の南無妙法蓮華経が現世利益だとか、『天上天下唯我独尊』の「我」が自分ではなく人という意味だとか。お釈迦様が七歩 歩いたことにも意味があったとは…!(…はっ! 一般教養だったらどうしよう;) 
 『薬師経』にこれから降りかかる災難が七つ書いてあるとか、これはもう予言の書じゃん! 日蝕月蝕彗星はともかく、旱魃水害疫病から内乱はひと繋がりかな とも思うけど、それに蒙古襲来まで重なったら、そりゃ信じるよなぁ。でもそれも時の政府の無策のせいでもあるんですが。とりあえず気味が悪いのは確かですね。効かないご祈祷に不信感抱くのもごもっとも。
 法華宗を布教する日蓮がとにかく情熱家で、焼き討ちにあっても流罪になっても まぁ挫けない。渦中にあろうとその場でできる限りのことをする、って姿勢はとにかく立派。でもその分頑なで、あくまで法華宗だけを信じるよう主張する。中庸を重んじてなぁなぁで済ませたい幕府としては、とんでもない相手ですよねぇ。で、予言は当たるし(苦笑;)。
 この作品では蒙古襲来の一回目、文永の役までしか描かれてません。日蓮はこの後どうなったのか、後は自分で調べろってことかしら;
 しかし。私、この人とあまり付き合いたいとは思わないなあ(苦笑;)。