読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

もののふの国 天野純希著 中央公論新社 2019年

 螺旋プロジェクト中世・近世篇。
 ネタばれになってるかも、すみません;

源頼朝足利尊氏明智光秀大塩平八郎土方歳三…命を懸けた果てなき争いの先に待ち受けていた光景とは?
千年近くの永きに亘り、この国を支配し続けてきた武士。しかしてその真の主役とは、勝者・敗者問わず、あらゆる猛き者をなぎ倒し、咆哮する魂を飲み込んでひたすらに驀進し続けた“歴史”そのものであった。いま、若き勢いそのままに練達の境地へと飛躍する著者が、その血塗られた戦いの系譜を、一巻の書物の中に極限まで描き切った。本書は、一篇の娯楽的歴史小説を、この国の叙事詩へ昇華させることに成功した、圧巻の物語である。
さあ、覚悟して本書を繙かれよ。そして、その歴史の“声”に耳を傾けよ―。(紹介文より)

 腐敗した都の役人に対抗し、自らの新たな秩序を打ち立てようとした平将門
 平家の交易(商業)を中心にした政に対し、大地に根付いた武士として起たざるを得なくなった源頼朝、掟破りの義経の攻撃に敗れ、逃れ逃れながらも結局すべて失い、頼朝を討ちに旅立つ平教経。
 圧倒的不利な状況でも負けない楠木正成に、与しながらも気に入らない足利尊氏は、ついにはもうひとり帝を立てて対立した。足利義満は二つに割れた朝廷を再び一つにまとめようと画策を巡らせ、その使いに大内義弘を利用、だがやはり気に入らず、堺の町ごと大内を焼き払う。やがて自分が日本国の頂点に立とうするが、志半ばで実の息子に討たれる。
 戦国時代、さらに戦禍を広げようとする織田信長を止めるため、明智光秀本能寺の変を起こす。跡を継いだのは豊臣秀吉、争いを好かない徳川家康はそのまま穏やかな晩年を過ごすつもりだったが、やむにやまれず大阪城を攻める。
 幕末、大塩平八郎の乱を経て、調停者坂本龍馬新撰組土方歳三西郷隆盛の最後へ。武士の時代が終わる。…

 初めての作家さんです。
 室町時代とかは本当に知識がないので(じゃあ いつの時代ならあるんだ、って感じもするんですが)、知らないことを教えて頂く、みたいな感じで読みました。特に平将門の乱なんてのは教科書で字面覚えただけ、みたいなものだったので、へぇ、こういう理由で起ったのか、と感心しきり。源義経の、船頭を狙うというような戦術が、当時の常識では卑怯極まりない方法だったとかも成程、と読みました。坂本龍馬の暗殺首謀者が 新政府に徳川慶喜を参加させたくなかった西郷隆盛だ、という説は初めて読んだなぁ。
 海族山族の絡ませ方も、よくここまで辻褄合わせたなぁと思いつつ、でも徳川秀忠と江の間の子供が実はいない、ってのは無理がないかしら(苦笑;)。

 そうそう、土方歳三の愛刀 和泉守兼定が出てきたり西郷隆盛千子村正持ってたりして、おお、と思ってしまいましたよ。いや、私審神者じゃないんですけどねぇ(苦笑;)。