読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

本格科学冒険漫画 20世紀少年 9~12巻 浦沢直樹著 小学館ビッグコミック

 カンナはローマ法王暗殺を阻止しようと、カジノに乗り込んで軍資金を調達、中国マフィアとタイマフィアの心を掴む。新宿の教会で決起集会を開くが、それは”ともだち”が書いた”しんよげんの書”の内容と酷似していた。カンナを救おうとユキジ、オッチョが集結。カンナ暗殺は阻止できたが、そこに現れた13号こと田村マサオは、”せいぼ”カンナの母親キリコの降臨を預言して去る。

 ヴァーチャルアトラクションの中で、”ともだち”の顔を見た直後、矯正退出させられた小泉響子。元の生活に戻ったが、新任の英語教師 佐田清志の顔を見て驚愕する。アトラクションの中で見たサダキヨとそっくり同じ顔だったから。
 響子は佐田に連れられ、”ともだち”博物館に。響子が監視対象だったことから高須たちが追って来るのを、博物館に放火して逃げ出す。佐田の過去の思いを聞いて、二人は佐田の小学校五年の担任教師 関口のいる老人ホームへ向かった。
 関口に存在を認められていたことを知った佐田は、2002年のモンちゃんとの邂逅を語り、自分の罪とモンちゃんの書いたメモを響子に託す。

 カンナはメモにあった寂れた港町へ。キリコの足跡を辿り、彼女が細菌の研究をしていたことを知る。廃墟の病院にあった「YAMANE」のプレート、モンちゃんメモにあった”ヤマネ 同級生”の文字、血の大みそかにワクチンで大もうけした大福堂製薬の細菌研究所長のDr.ヤマネ。それらが同一人物の”ヤマネ君”だと気づいたオッチョは、当時の記憶を辿り、小学校の「図書室での秘密の連絡方法」を探り当てる。
 2015年元日の夜、理科室でひみつの集会。現れた”ともだち”を山根君は嘘吐き呼ばわりし、銃で撃つ。忍者ハットリくんのお面を剥がし、”ともだち”の顔を確認するオッチョ。”ともだち”はフクベエだった。…

 そうそう、初版の12巻には「ひみつのメモ」が挟んであって、頁をめくった瞬間、どきっとしましたっけ。オビに大きく「メモ入り!」って書いてあったのに。
 サダキヨはいい先生に巡り会えたよなぁ。私は自分が小学校の先生に覚えられてるとは思えないので。何しろ影の薄い子供だったから(苦笑;)。
 ”ともだち”の正体が明らかになりました。ただ、後々”ともだち”は復活する訳ですよね。フクベエは本当に死んだのか、彼には前科がありますし。
 次巻に続きます。

アニメ『勇気爆発バーンブレイバーン』見ました。

 アニメ『勇気爆発バーンブレイバーン』見ました。

 何の予備知識もなく見始めて、第一話開始25分で度肝を抜かれました。大急ぎでSNSを確認、案の定大騒ぎになってましたね(笑)。
 薦めた友人が「二話から見るわ」と言うのに、「その前に第一話を見て!」「配信でやってるから!」と力説しましたっけ。二話からではネタバレになってしまう、あの壮大な前フリからのオチを味わってもらいたいのに(笑)。

 リアルロボットに見せかけた勇者シリーズMBSって他局のシリーズ換骨奪胎するの上手いなぁ(笑)。私はCG特有の滑らかな動きはちょっと苦手なんですが、それをロボットの動きに応用する演出に舌を巻きました。

 始めは「ガガピー」しか言えなかったルル、それを「小さい子って興奮するとああいう声出すよなぁ」に昇華する巧さ。敵方の声優さんも本当に豪華で、何しろ最終話ラスト15分で出て来たラスボスが釘宮理恵さん。…そうか、釘宮さんラスボスするようになったんだなぁ、と感慨深かったです。「あの小さな泰麒はもういない」って感じ。…いや、そんなことはないでしょうけど(笑)。

 様々なパロディも入れ込んで、何かもう勢いで突っ走る潔さ。いやもう、色々楽しませて頂きました。最終話ラストが主題歌で終わる、しかも効果音付きの新バージョン(笑)。カラオケ行ったらきっと歌っちゃうなぁ。
 いいもの見させて頂いて、有難うございました。

赤毛のアン モンゴメリ著/松本侑子新訳 文春文庫 2019年

 孤児アンはプリンス・エドワード島のグリーン・ゲイブルズでマシューとマリラに愛され、すこやかに育つ。笑いと涙の名作は英文学が引用される芸術的な文学だった。
 お茶用のラズベリー水とカシス酒、スコットランド系アンの民族衣裳も原作通りに翻訳。みずみずしく夢のある日本初の全文訳・訳注付『赤毛のアン』シリーズ第1巻。 (裏表紙紹介文より)

 他人事のように、いずれ読むだろうな、と思っていた一冊。
 思いのほか時間が掛かりました。最初のうちはするする読んでいたのですが、だんだん「あれ、村岡花子訳だとどういう表現だったっけな」「違う言い方してたな」とむずむず気になってきて、最終的には村岡花子訳本を傍に置いて、数行ずつかわりばんこに読むように。特に、ラスト近辺、アンがクイーン学院から帰ってきて以降は一行ずつ読み比べましたよ。カナダ旅行で買った英語原文版も、気休めながら脇に置いて、最終的に思ったのは「アニメの『赤毛のアン』もう一度見たい…!!」でした。
 高畑勲、あのアニメ絶対原文から作ってるよ…!!
 村岡花子版と特に違うと思ったのは、植物やファッション用語、食べ物の名前。当時ではメジャーじゃなかった「ラズベリー水」や「カシス酒」が「いちご水」「葡萄酒」に訳されたのは有名ですが(でもその前に「きいちごのパイ」ってのは出て来てたんだよなぁ、パイはよくて水は駄目なの??ってのは今回改めて村岡版を読んで思いました)、「さんざし」の原文がメイフラワーで、イギリスと北米では指す種類が違う、ってのは「よく調べたなぁ…!」と感心しましたよ(上から目線ですみません;)。「最新流行の前髪のなでつけ方」がポンパドゥールだったとは…!
 個人的にはやっぱり「パフスリーブ」より「ふくらんだそで」の方が好きだし、「ものすごいけちん坊」より「おっそろしいけちん坊」って言い方の方がぐっと来るなぁ、とか細かいことはあったのですが、とにかくラスト近辺です。
 村岡花子、〆切りか何かに追われていたのか…??って思う位、端折り方がえぐい。それまで一字一句なぞられて来たものが、アンがクイーン学院から帰郷して、マシューが倒れて…って辺りから、省略が目に付き出します。でも私は何故かそれらのエピソードを知っていて、それは多分アニメで描かれていたから。
 マシューが銀行の倒産危機についてラッセルさんに尋ねる場面とか(その彼はマシューの葬式で詫びを口にしていた)、はっきりと覚えています。マリラの通夜での台詞もあったと思う。当時は原作を膨らませたのだろうと思った場面でしたが(アンが鼻かぜをひく原因となったエピソードとかは確かアニメオリジナルでした)、英語原作に忠実だったとは。生前、高畑監督は講演会で「手を抜くまいと思った」と仰ってましたが、こういうことも含めて、だったのね~。
 演芸会以降、アンの着る服はふくらんだ袖の最新流行型になった筈なのにアニメでは質素なままで、そこだけが私の中で不満だったのですが、今回これに気付いて以来、「ここまでやったならそれもやってくれよ」と何とも理不尽な思いに駆られたのでしたよ。
 アニメどこかで再放送してくれないかな、丁寧に見返したいな。
 岡田斗司夫さんに解説依頼しようかとまで思いました(苦笑;)。

本格科学冒険漫画 20世紀少年 4~8巻 浦沢直樹著 小学館ビッグコミックス

 順風満帆の人生を送っていた筈のオッチョ。一人息子を亡くして以来 生活は荒み、タイで流浪の生活を送っていた。だが日本に蔓延しているクスリ 七色キッドの被害者 製造者に関わったこと、見覚えのあるマークが使用されていたこと、ケンヂから連絡を受けたことを経て、日本に帰って来る。
 ”ともだち”はロボット工学者 敷島博士を脅して、巨大ロボット製造に成功していた。ヘルスで働く博士の娘と接触したケンヂは、オッチョと共に霞が関に潜入、だがそこにあったのは”ともだち”のビデオのみ。仲間を9人揃えるよう挑発される。

 9人集めようと幼馴染みに声をかけるケンヂ。だがそこから綻びが出て、ケンヂたちは隠れ家を追われることに。カンナと母を山形に避難させたが、決行日の大晦日にカンナは戻ってきてしまう。果たして、世界各地でウィルステロが起き、東京都心では巨大ロボットがウィルスを撒き散らしながら闊歩し始めた。集まったのはケンヂ、オッチョ、ヨシツネ、マルオ、ユキジ、フクベエ、モンちゃん。7人でそれに立ち向かう。

 2014年。高校二年生、反抗期真っただ中のカンナは、山形の祖母の元もユキジの家も飛び出して、歌舞伎町で一人暮らし中。中国マフィアもタイマフィアも一目置くカリスマ性を持つ娘に成長していた。
 ローマ法王来日に備え警備が強化される中、カンナは中国人マフィア銃殺事件の目撃者を匿い、蝶野刑事と知りあった。目撃者は、犯人は警官でローマ法王暗殺を計画していること、”ともだち”が黒幕であることをカンナや蝶野に伝えるが、殺されてしまう。
 その頃、オッチョは海ほたるを利用した刑務所で、漫画家を志す青年 角田と脱獄を企てていた。何とか成功し辿り着いた東京で、万博の準備施設を目撃する。
 大阪万国博覧会。1970年に開かれたそれは、当時の子供たちの最大関心事であり、格差を生んだ催事だった。

 遠藤カンナと同級生の小泉響子は、自由研究の課題に遠藤ケンヂを勢いで選んでしまったことから、元ホームレスの神永と知りあった。神永は”2000年 血の大みそか”の真相を語り始める。

 巨大生物兵器を止めようと、リモコンを探すケンヂたち。とあるビルの屋上で忍者ハットリくんのお面を被り、ノートパソコンを持った男を見つける。ケンヂより一足早くその場に着いていたフクベエは、彼を「サダキヨ」と呼び、パソコンを奪おうと挑みかかった。揉みあううち足を踏み外し、二人は落下。その寸前、フクベエは”ともだち”の素顔を見、「サダキヨ……じゃない」の言葉を残す。
 二人は死に、パソコンは壊れた。だが、ロボットは止まらない。ケンヂは一人爆弾を抱えてロボットに乗り込む。その前に、再び”ともだち”が現れた。お面を脱ぎ、素顔を見せる”ともだち”。直後、大爆発が辺りを襲う。ケンヂはテロリストとされ、ワクチンを作って提供した”ともだち”一派は世界的な英雄となった。

 小泉響子は危険思想を持っている、と矯正施設”ともだちランド”に連行された。そこで清掃員として働くヨシツネと出会う。ヨシツネは洗脳施設の攻略法を響子に教え、その代わり成績優秀者のみが行けるボーナスステージの内容を知らせてほしいと依頼する。
 ボーナスステージの舞台は1971年。ケンヂ少年たちは夜中、首吊り坂のお化け屋敷に、肝試しに向かっていた。…

 こうしてみると話が進んでいるようで進んでなかったんだな。何しろ過去と現在を行き来する構成だし。
 ”ともだちランド”のボーナスステージがよく分からないんですよね、”ともだち”はどうしてこんなものを作ったのか。”ともだち”の顔を見たら殺される、って”ともだち”は自分の存在を広めたいのか隠したいのか。で、ビルから落ちた二人は結局誰だったのか。
 次巻に続きます。

いのまたむつみさん

 愛と美の女神イーノ・マータ(Ⓒ萩原一至)が逝ってしまった;;
 訃報が続くなぁ;;

 『宇宙の皇子』は読んだことがありません。でもその絵は知っています。華麗で優美な曲線、線から艶がにじみ出るような。
 『ウィンダリア』『幻夢戦記レダ』『風の大陸』。『サイバーフォーミュラ』や『ガンダムSEED』も。とにかく華やかで可愛らしい。いのまたさんの絵で、美意識の一部が形成された気がします。

 まだまだそんなお年ではなかったのに、残念でなりません。
 ご冥福をお祈り致します。

TARAKOさん

 夜中、もう寝ようかとネットを閉じる直前、訃報が目に入ってとにかくびっくりしました。情報を得ようと慌ててあちこちを巡りました。

 何しろ目立つお名前なのでエンドロール等でよくお見掛けはしていましたが、声と名前が一致したのはご多分に漏れず『ちびまる子ちゃん』から。『まじかる☆タルるートくん』『みかん絵日記』と続きます。

 強烈に印象に残っているのは、旧作『HUNTER×HUNTER』のセンリツ。静かに唄うように台詞を奏でる、深み、哀しみが含まれるような。出演場面はそんなに多くなかった筈なのですが、こんな演技をされる方だったのか、ととにかく惹き込まれました。

 まる子ちゃんとしても みかんとしても歌を歌われていて、それが見事に「その役」として歌われていました。稀有な役者さんだったのだろうと思います。

 唯一無二のお声、演技をお持ちの方でした。とにかく早過ぎる。
 ご冥福をお祈り致します。

鳥山明さん

 夕刊を開けたら一行だけ「鳥山明氏 死去」の報道。慌ててTVをつけましたが望む情報は手に入らず、急いでネットに繋ぎました。

 中学生の頃、下校途中の道端に、竹串に刺された犬の(多分・笑)ウン○を見かけ、『Dr.スランプ』の影響力の凄まじさを痛感しました。
 『ドラゴンボール』の初期エピソード、レッドリボン軍の総帥がドラゴンボールを集める理由が明かされた日。「あれ、笑えた?」との私の問いに、小中学校通してずっと背の低かった兄は、「笑えなかった」と苦笑しました。
 休職中、パソコン教室に通っていた頃。隣の席でお弁当を囲んでいた3人くらいの女の子たちの会話が聞こえてきたのですが、うちの一人が知人の容姿を説明するのに「魔人ブゥみたいな人」と例えていて、それが見事に通じていたのに「そんなに浸透してるの??」とこっそり驚きました。
 天然パーマの子のあだ名は男女問わずほぼガッちゃんで、各学年ごとに(下手するとクラスごとに)いました。

 私は鳥山明さんの単行本を持っていませんが、それでもエピソードには困りません。
 水曜日の午後7時、アニメの放送を楽しみにしていました。ゲーム『ドラゴンクエスト』に胸躍らせました。
 漫画家に、作家性より職人性が求められていた時代、それでもあふれ出る才能。漸くまた創作活動にまた目を向け始めて下さっていたのに。

 ご冥福をお祈り致します。