読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ホワイトラビット a night 伊坂幸太郎著 新潮社 2017年

 ネタばれになってるかも、すみません;

 仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていく――。
 「白兎(しろうさぎ)事件」の全貌を知ることができるのはあなただけ!
 伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX! あの泥棒も登場します。           (出版社HPより)

 兎田孝則は誘拐犯グループの仕入れ担当、指定された人間を連れ去ってくる役割を担っている。作業にも慣れて来た二年目、いい仕事に就いたもんだな、とのんびり構えていたらとんえもないしっぺ返しをくらった。新妻の綿子ちゃんが誘拐されてしまったのだ。
 身代金代わりの条件は、グループのコンサルタント 折尾豊を指定の場所に連れてくること。どうやら会社(?)の金を持ち逃げしたらしい。GPSを頼りにとある民家に侵入したら、そこには引きこもりの息子とその母親、父親らしい男は二階に隠れていたが、肝心の折尾が見つからない。息子の通報によって事件は発覚、立てこもり犯として「折尾を連れてこい」と要求する羽目に。
 警察によって現場に連れて来られた折尾は、オリオン座の蘊蓄をさんざん傾けた挙句、「オリオン座のリゲルの位置に重要な情報が」と宣い、かかって来た電話の逆探知を依頼する。訳の分からない占いじみた言動に、宮城県警の夏之目課長の部下は、夏之目課長が妻と娘を亡くした事件を気遣ってハラハラのし通し。折尾の真意はどこにあるのか。やがて、二階から犯人が飛び降りた、との情報が飛び込んでくる。…


 ああ、いいなぁ。伊坂さんのこういう作風好きだなぁ。 
 今回ベースにあるのは『レ・ミゼラブル』、私は子供向けダイジェストの『あゝ無情』しか読んだことはありませんが、今回の、地の文が主張するような、筆者というか語り手というかが前面に出てくるような文体は、多分この古典を大いにオマージュしてるんでしょうね。で、これ妙に伊坂作品にあってる(笑)。
 後半で明かされる真相に思わず「…え??」。じゃああれはどういうこと、どうなったの、これはどうするの、ってしばらく頭が混乱しました(苦笑;)。勿論全て収着するんですけどね、まぁその快感! 
 伊坂作品にはおなじみの空き巣も出て来て、それだけでも嬉しかったですしね。悪人書いてるのにどいつもこいつも憎めない、ってのは何なんだろう。いや、暴力社長だのいんちき占い師だのは腹立ちましたけど、夏之目課長告白しなくてもいいじゃん、って思ったけど。