読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

天涯無限 アルスラーン戦記16  田中芳樹著  光文社カッパ・ノベルス  2017年

 『アルスラーン戦記』最終巻。
 ネタばれあります、すみません;

 中世ペルシアによく似た異世界の英雄物語――。
 周囲を難敵に包囲され、パルス国は絶体絶命の窮地に追い込まれた。解放王アルスラーンシンドゥララジェンドラ王とのある交渉をジャスワントに委ねる。その頃、パルス国内では、先王アンドラゴラスが生きているという流言が広がり始めていた。新マルヤム国王ギスカールと手を結んだヒルメス、魔将軍イルテリシュに率いられたチュルク軍、孔雀姫フィトナを押し立てたミスル軍、そしてついに復活した蛇王ザッハークと魔軍!! パルス軍に打つ手はあるのか? 蛇王ザッハークを討つことができるのか!?
 伝説的ベストセラー、堂々完結。                        (裏表紙紹介文より)

 
 その昔、雑誌『花とゆめ』で連載されていた漫画 柴田昌弘著『ブルー・ソネット』について交わした友人との会話。
 「あれ、どうやって終わるんだろうね」
 「決まってるやん。みんな殺すんだよ」(爆!)

 …と言う訳でアルスラーン戦記最終巻です。「皆殺しの田中」、健在(笑)。いや、後日譚として死んだ人物もいるんですが、本当、見事にに皆殺しでしたね。さて、この結末はどこまで当初の予定通りなのか。疑問点はいくつか残りました。
 序盤、ジャスワント死んだのに「ジャスワント卿はまだ帰国致しませぬが」とか言ってるダリューンにまず違和感。これはまだ知らないと判断すべきか、編集なり校閲なりしっかりしろよ、と言うべきか(苦笑;)。
 銀の腕輪を持つ三人の少女の扱いが、あっさり片付けられていたのも気になりました。あれ、物語後半の肝だと思ってたんだけどな。
 5年足らずの治世で「解放王」なんて呼称がつくものだろうか。「最後の王」とかそんな風になりそうだけど。友人曰く、「最後の勝者はラジェンドラ」。…確かに!(笑)
 とか言いながら、最後の行軍場面で胸が熱くなったのは確かです。こっそり「エステルいないんだ…」とは思ったけどさ(苦笑;)。
 「ハルボゼ(メロン)のように割れた」の比喩には、そうそう、これこれ、とも思いましたし、ギーヴの相変わらずの軽口にも口元がほころんだし。アルスラーンの人たらしっぷりも磨きがかかって、「こいつ自覚してやってるやろ!?」って感じでしたし。
 「貴種流離譚の反発から始まった」作品ならば、血統に因らない後継者というのも、筋が通ってるよなとも思いました。
 
 私は結構身贔屓の強い性質で、だから多分この作品を客観的に評価することはできません。『アルスラーン戦記』はさほどではないけれど、『銀河英雄伝説』は本当に夢中で読みました。歴史物、戦記物、下手すると政治物の面白さを教えて貰ったのはこの作品群です。「最後まで書いてくれてありがとう」って感慨が実は一番強かったり(苦笑;)。
 
 さて、あと私が待ってるのは『十二国記』だけになったんじゃないかな。これもなかなかハラハラですね(苦笑)。