読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

猫の傀儡 西條奈加著 光文社 2017年

 連作短編集。
 ネタばれあります、すみません;

猫の傀儡
順松が行方知れずになって一ヵ月。ミスジは順松の後を継いで猫町の傀儡師になった。
鼠退治のため猫が大切にされた米町、通称猫町には、傀儡師と呼ばれる猫がいる。暇で、察しがよくて、好奇心旺盛で猫好きな人間を操って、猫のために働かせるのだ。長老たちが選んだミスジのパートナーはおっとり長屋の阿次郎、さる大きな商家の次男坊で売れない狂言作家。早速、キジ猫の濡れ衣を晴らそうと活動し始めた。キジは近所のご隠居が育てている変わり朝顔の鉢を落として壊した、とやってもいない罪を着せられているという。

白黒仔猫
ほんの仔猫の頃、ミスジは烏に襲われ、それを順松に助けられた。今、ミスジは白い仔猫を烏から救った。烏は偶然にも同じ烏、三日月の傷を順松につけられたヤツだ。三日月烏は、先日順松の無残な死体を見た、と嘲笑う。
おトラの仔が一匹、姿が見えなくなった。その直前まで両替商の幼い姉娘と一緒にいた筈、姉娘は何故か実の母親から邪険に扱われていたらしい。やがて、両替商に身代金を要求する脅し文が届いた。阿次郎はその脅し文に疑問を抱く。

十市と赤
ミスジの生まれ故郷、隣町のデンが訪ねて来た。風呂屋の主人が大怪我を負って、その咎人として十市という男が捕まった、だが十市ミスジも世話になった老猫 赤爺を気にかけていた恩人、そんなことができる人間ではないという。ミスジは阿次郎に飼われ始めた白猫ユキを使って、阿次郎を十市に会わせる算段を取る。

三日月の仇
子供に捕まっていた烏を助けたら、何と三日月烏の女房だった。細長い矢のようなものが飛んできて、怪我した所を捕まったのだという。串刺しにされた猫の事件も起きており、ミスジは阿次郎を動かすことを決意する。ユキが狙われたように見せかけると、阿次郎は思惑通り大慌てで真相解明に乗り出した。どうやら吹屋の屋台を訪ねるらしい。

ふたり順松
ユキを大福と呼ぶ女が現れた。彼女はユキの前の飼い主、順松の後輩芸者、春奴。春奴曰く、順松は猫の順松が傀儡としていた根付師の時雨と恋仲で、五月松の両国川開き以来、二人とも姿を消したらしい。ユキのために、阿次郎は時雨の実家を訪ねる。

三年宵待ち
時雨は雪駄問屋大西屋の隠居だった。その大西屋は、弟が改めて婿養子に入り、継いでいるらしい。阿次郎とミスジは弟から、川開きの日に時雨にあったという人物、履物屋の丸吉を訪ねる。丸吉の旦那は猫が苦手だった。ミスジを見て小刀を出すほどに。

猫町大捕物
時雨が戻ったとの噂を聞いて、丸吉の旦那が借家を訪ねて来る。ただし、尋常ならざる決意を持って。芸者の順松は幼い頃、家を盗賊に襲われた過去を持ち、そのうち一人の顔をはっきりと覚えていた。…


 ああ、これはいい所に目を着けたな、と思ってしまいました。猫好きの中には、本当、猫に振り回されてるような人いるもんなぁ。
 動物的な勘で(当たり前だ)、真相を先に知るミスジ。それとは違う方法で辿り着く阿次郎。阿次郎が猫かわいがりするのはユキですが、ミスジとはちゃんとパートナーシップができてる感じ、「相棒」してる(笑)。
 前半の四話がもっと後半に絡んでくると思ってたんですが、まぁご紹介、ってことなのかな。
 全てを知るような先輩傀儡 時雨もいて、何とも頼りになる。これは続きそうですね~。