読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

村上海賊の娘 下巻 和田竜著 新潮社 2013年

 織田方の猛攻を雑賀衆の火縄が止め、門徒の勢いを京より急襲した信長が粉砕する。毛利・村上の水軍もついに難波海へ。村上海賊は毛利も知らぬ禁じ手と秘術を携えていた…。
 信長vs.本願寺、瀬戸内と難波の海賊ども…。
 ケタちがいの陸海の戦い! 木津川合戦に基づく一大巨篇。             (内容紹介より)


 情に流され、大坂本願寺門徒を庇う景。戦を知る七五三兵衛に「面白ゃないやつ」と切り捨てられ、景は失意のまま難波を後にする。丁度その頃、毛利は大坂本願寺に味方し、兵糧を木津川砦に運ぶことに。だが本気で織田信長と敵対する気のない村上海賊軍は、本願寺を目前に、泉州海賊と睨み合ったまま動かない。門徒を助けたい景は、自分の甘さを逆手に泉州海賊と和睦を結びたい、と申し出るが、七五三兵衛に一蹴される。
 とうとう村上軍は難波海を去る。景は単身、雑賀党に掛け合い、共に泉州海賊の安宅船に挑む。それを知った村上軍は転身、泉州海賊に海戦を仕掛ける。…


 早かった~。下巻は一気でした。
 面白かったです。まぁ途中でやめられない。何か色々、日常生活に必要のない知識が増えました(笑)。
 信長の三段撃ちより雑賀党の連射技術の方が凄かったとか(雑賀党って伊賀、甲賀、根來と並んでるみたいな感じで忍者集団だと思ってたんですが、鉄砲の扱いに長けてたんですね)、鉄砲の弾は直線だけど矢は仰角に撃ったりもできるから盾の向こうでも射られるとか、船上の戦いでは血の海で足が滑るとか。船を一方に傾けての戦い、ってのも目から鱗!でした。なるほど、そんな作戦陸戦では考えられない。
 上巻から引っ張るだけ引っ張った「鬼手」の正体も明らかに。姫さん、愛されてるなぁ。
 で、戦を描写していているのに、あくまで陽性なのは相変わらず。まぁこれは泉州海賊の気質もあるかもしれませんが。それにしてもこの時代の人たち、目がいいなぁ。それぞれ大型船の上にいながら姿認めて会話なんかしてるもんなぁ。
 七五三兵衛、どうやったら死ぬんだよ、って怪物ぶりでした。景も頑張ってたけど、役者は七五三兵衛の方が上でしたね~。一人の英雄が戦況を変えられた時代ですね。
 個人的には、景の兄 村上元吉の豹変ぶりとか、弟 景親の成長っぷりとか結構ツボでした。細かいだけじゃなくて、お兄ちゃんやるじゃん、って感じですね(笑)。
 ただ、しまなみ海道のガイドブック代わりにはならなかったなぁ。当てが外れました、残念(笑)。