読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

教団X 中村文則著 集英社 2014年

 謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。
 著者最長にして圧倒的最高傑作。                    (紹介文より)


 『アメトーーク!』読書芸人でオードリー若林さんが紹介されていた一冊。あまりの分厚さに期限内に読めるかな、と危惧しましたが、何とか一週間かからず読めましたね。
 
 宗教団体ではないけれども、何故か周りに人が集まってくる老人・松尾。最初はこの人物の講義(?)が話の中心となります。で、これは面白かった。お釈迦様の説法が最新の物理学とリンクしていたり、キリストのユダに対する扱いに対する諸説等、素直に感心して読みました。物語の最終盤での「理想を語ろう」っていう主張も、福井晴敏さんやら佐藤賢一さんやら荒川弘さんは作中で登場人物に語らせたし、爆笑問題の太田さんも仰ってたことですが、やっぱり言われるとうん、と頷く。
 で、描かれるもう一つのカルト集団が、これが、何だかなぁ、という感じで。女性は男性を取り込むための手段として使われる訳ですが(他にも需要があるのかもしれませんが、私が読む限り、この利用法の道具としてしか汲み取れなかった)、この扱いに甘んじる女性が今の時代どれだけいるのか。教祖が命じるまま好きでもない複数の男との乱交、どんな相手とでも快感を覚えている描写、…いやいや、ないだろう??とどうしても思ってしまう。それともそこまで洗脳されている、ということなんだろうか。
 親の再婚で兄妹となった二人が長じて恋人関係になったのはいいとして、妹に当たる女性が男性を「高原君」と苗字君付けで呼んでいるのにも凄く違和感が。…え、細かいって??(苦笑;)
 男の人が書いた話だよなぁ、というのが拭えない一冊でした。