読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

三人寄れば、物語のことを 上橋菜穂子 荻原規子 佐藤多佳子著 青土社 2014年

 上橋菜穂子荻原規子佐藤多佳子
 三人の物語の秘密が解き明かされる! ?
 〈守り人〉シリーズ、『獣の奏者』、『西の善き魔女』、『RDG レッドデータガール』、『一瞬の風になれ』、『シロガラス』…
 当代きっての物語の書き手でありまた読み手でもある3人の作家が、お互いの作品を時にするどく時になごやかにあますところなく語り尽くす!                            (内容紹介より)


 『守り人』シリーズの文庫化、『RDG レッドデータガール』完結とアニメ化、『シロガラス』発刊を機会に、雑誌『ユリイカ』で組まれた鼎談をまとめたもの。
 
 荻原さんの新作が出た筈、と図書館で検索をかけたらヒットしました。
 読み始めてちょっと後悔。…しまった、佐藤さんの『シロガラス』をまだ読んでない;; というか、この本でその存在を知ったくらいなので仕方ないんですが。
 年齢も近く、児童書から始まって大人向けの作品も書き始めて…という三人共通の経緯に、これだけなら梨木香歩さんや小野不由美さんもほぼ同じコース辿ってるんだけど、と思いつつ。でも何か違うんだよなぁ。
 上橋さんが分析して、佐藤さんが相槌を打って広げて、荻原さんが本質を突く。
 上橋さんのファンタジーが物語世界の広がりを目指すのに対し、荻原さんが個人の深い所を掘り下げていく、という言葉にはなるほど、と思いました。三人ともが「伝えること」を目的に文章を書いていて、だから文章表現に凝っていないとか。でも、思わず引用したくなるような文章、モノローグは佐藤さんの作品では私はよくあるんですが。何と言うか、少女漫画にあるようなモノローグ。物事が進むのと同時に描かれるような。
 『RDG レッドデータガール』の評価も私には意外でした。世界を広げ過ぎず、あそこで抑制できたのが凄い、ということなんですが、確かに話は主人公に集約して完結したけど、でも世界がどうなるのか私は気になるなぁ。最初のTVシリーズの『新世紀エヴァンゲリオン』で、ゼーレの目的も使途の正体も世界の終末も曖昧なまま、シンジの自己世界の完結で終わっちゃったのを思い出してしまいました。
 とりあえず、佐藤さんの作品を読まなきゃなぁ。新作『シロガラス』だけじゃなくて、そう言えば初期の児童書の方は私読んでないし。