読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

猫が足りない 沢村凛著 双葉社 2014年

 猫のためなら人の迷惑や常識を考えず行動する主婦に振り回される就職浪人生の一年半。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 私の人生には猫が足りないの。彼女が猫のために動くと、必ず「死」や「犯罪」につきあたる。だから、放っておけないのだ。ラストに漂う、この祈るような静かな気持ち―。
 巻き込まれ型ミステリーに新たな味わいの傑作誕生!              (内容紹介より)
 
第一話 昨日と同じ今日を
 就職が決まらないまま大学を卒業した「俺」古賀知章。中途半端に働くな、と親にアルバイトも禁止され、就職活動以外の日は、やはり親に決められた会員制スポーツクラブに通う。そこに集う主婦たちが有閑マダムに見えてやり場のない鬱憤を募らせる毎日、知章はそのうちの一人<ミセス不機嫌>四元真季と知り合う。
 ジムで、近所で猫が虐待されているのではないかと言う話題が出た日、折も折カブトムシやトカゲ、ハムスターの死体が公園で見つかった。四元さんはその犯人を知っている、と言い出す。とあるマンションで飼われている猫がネグレクトされている、と主張する彼女はそれ故に犯罪まで犯しそうな勢い。知章は代わりに事件を調べることになる。

第二話 柳の樹の下には
 スポーツクラブで知り合った人の紹介で、どうやら就職が決まりそうだ。夢心地の知章に、四元真季が自分の見聞きした近所の騒動を持ち込んで来る。曰く、とある家の猫がご近所トラブルに巻き込まれ、脅迫されて命の危険にさらされているのだとか。あやふやな聞きかじりなのに思い込みで動く四元さんを放っておいたら、何をしでかすかわからない。知章は正確な情報を得ようと調べ始める。

第三話 人のふり見て
 公園でジョギングしていたら、四元さんが若い女性と話しているのに出会ってしまった。女性とアマチマサキさんは母親違いの兄妹だ、という内容に、何が何だか分からない知章。女性がいなくなってから話を聞くと、アマチマサキが恋人のことで母親と仲違いし、飼われていた猫が二人の間でノイローゼになっているから恋人とわかれさせようと思った、ととんでもないことを言い出した。その嘘が引き起こすであろう結末に蒼白になった知章は、尻拭いのため駆けずり回る。

第四話 天の神様の言うとおり
 スポーツクラブ会員の一人、船井さんの猫が誘拐された。脅迫状の内容や誘拐された時の手順からして、身内の犯行に間違いないという。誰か犯人か突き止めてくれ、という依頼に、知章は四元さんを誘って真相究明に乗り出した。ところが四元さんはこれを利用して、別の猫を救出しようと暴走し始める。

第五話 いづくも終の
 毒餌がばら撒かれ猫が死ぬ、という事件が発生した。放っておくと何をしでかすかわからない四元さんと共に、犯人探しに乗り出す知章。たまたま聞き込みに回った家がどうやらビンゴだったらしく、二人は監禁されてしまう。今晩でカタが着くから、と出て行った犯人から逃れる方法は…。

第六話 今日と違う明日へ
 スポーツクラブの新店長が撲殺され、馴染みの副店長 安長さんが疑われているらしい。容疑を晴らせないか、と会員の船井さんから相談を受けた知章は、四元さんから依頼を受けた猫の引き取り手探しを条件に、事件を調べてみることに。ところがはやり先走りした四元さんが、犯人に出会ってしまったらしい。途中で切れてしまった電話の内容を手がかりに、知章は犯人を割り出そうとする。…


 私はペットを飼ったことが無くて、だから猫にしろ犬にしろここまでのめり込むことがなくてですね。
 いやぁ、本当、典型的な巻き込まれ事件の数々。後々語られる四元さんの転勤転勤の境遇には、私も社交的ではないので同情する面も多々あったのですが、でもあんまり非常識に走られるので眉を顰めてしまいました。
 それでも放っておけない四元さんの魅力、ってのは何なんだろうなぁ。もしかしたら、映像化に向いてる作品なのかもしれない。四元さんを浮世離れした可愛らしい女優さんが演じたら、活字にはない説得力が生まれるのかも。
 いやでも、こんな境遇を強いる会社、ってのは問題あるんじゃないかなぁ。
 谷山浩子さんって、懐かしい名前を聞きましたよ。