『ちいさな焦げた顔』
町の実力者だった義父が襲撃され、ママも姉さんも殺された。10歳の梗が、凌辱された姉の死体を前に息を殺して隠れていると、そこにバンブーが現れた。血を吸う伝説の竹のオバケ、バンブー。梗は彼に自分を連れて行ってくれるよう頼み、バンブーは不承不承ながら梗を助ける。そしてもう一人のバンブー洋治と助けてくれたムスタァと梗との三人の、海辺の小さなコテージでの生活が始まった。追手に見つからないよう、女装して学校に通う梗。夜の住人のムスタァと洋治は、命ある梗にとにかく優しい。バンブーの大罪、人間との交流を犯してまで梗を育ててくれた二人だったが、やがて梗ははぐれバンブーの少女茉莉花と出会い、恋に落ちる。
掟を破って、生きた人間を襲う茉莉花。彼女と知り合ったことで、梗の素性はばれ、洋治はバンブーの王に殺されてしまう。ムスタァに逃がされた梗はそれから一人で生きて行くことになる。洋治やムスタァが愛してくれた命の火を絶やさないように。やがて年老いた梗は、海辺のコテージをまた訪れた。…