読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

県庁おもてなし課 有川浩著 角川書店 2011年

 作者本人が高知県の観光特使になったことに着想を得た、高知PR小説。

 とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。若手職員・掛水は、地方振興企画の手始めに、人気作家・吉門喬介に観光特使就任を依頼する。活動内容は県内各地観光名所が無料になる『特使名刺』の配布のみ、ところがこれが不備だらけ、しかもそれを吉門に指摘されて初めて気がつく体たらく。
 何とかお役所体質を改善して民間感覚を、と足掻く掛水。吉門のアドバイスに従ってアルバイトに来ていた女の子・明神多紀を雇い、かつて役所で『パンダ誘致論』をぶち上げて煙たがられた男・清遠和政を探し出す。彼は現在、民宿を運営する傍ら観光コンサルタントとして働いていた。
 「父親を県庁から追い出された」「家族も離れ離れになった」と怨み骨髄の娘・佐和という難関を乗り越えると、清遠は強靭なプランを引っ提げて協力してくれた。名付けて『高知県まるごとレジャーランド化』。地元の価値に無頓着な県庁を目覚めさせるため、清遠は掛水と多紀をあっちこっちに引き摺り回す。日曜市、台風明けの室戸岬、パラグライダーをしに吾川スカイパーク。吉門がおもてなし課を題材に高知新聞で連載する、というバックアップも得て、何とかかんとか計画が走り出しそうな矢先、横やりが入った。清遠の企画参加に待ったがかかった。
 予測していたとあっさり引き下がる清遠、怒り満面の佐和。清遠を失ったまま、掛水たちは自分の足で「おもてなし」を実践する方法を模索しはじめる。…

 有川さんお得意、「目標をクリアしていく話」。
 掛水と多紀、吉門と佐和、二組の恋愛模様も絡めつつ、高知県の観光案内にもなっているという。
 最初のエピソード、観光特使に名刺配布の依頼をしてから観光名所への入場無料の交渉を始めたというお役所の態度に、「うっそー」「いくらなんでも交渉の方を先に詰めとくだろ」と思ってたら、どうやらこれは実話のようで。…すげぇなぁ。
 有川さん、お母さんと折り合い悪いのかなぁ、とかちょっと邪推してしまいました。図書館戦争でもお母さんは昔ながらの価値観に囚われた頑なな人、と言う描き方をされてましたよね。勿論お父さんを悪く書いた作品もありましたけど。ほら、例えばドラクエをしたら「堀井さん、気の強い女の子好みなのかしら」とか思うようなもんです。…あれ、違う??(苦笑;)

 高知県には二度、行ったことがあります。一度目はイベント参加(何のとは訊かないように・笑)、そこで久しぶりに会った知り合いと、阪急ホテルの喫茶室で一日中喋りまくり、何の観光もしなかったと言う(爆!)。日曜市はひやかしたかったですね、あれは楽しそうだったなぁ。毎週バザーや縁日があるようなものじゃないですか、羨ましい!
 二度目は完全な観光旅行ですね、四万十川へ。バス旅行だったのがちょっと失敗だったかも、とにかく遠かったなぁ。食べ物がとにかく美味しかった、カツオのたたきもこっちで食べるのとは全然違ってて。天然ウナギをお土産に買いそびれたのが未だに残念。
 馬路村はちょっと行ってみたくなりました。でも交通の便がよくないんですよね、車に乗れない私には無理なロケーションだなぁ。
 
 物語は公式ガイドブックの発行で終わります。ちょっと物足りない感じもしましたが、実際のゴールがある訳ではないので、こんな感じなのかな。掛水と多紀、吉門と佐和の関係は一応目途が立ったし。多紀ちゃん、掛水くんと結婚したら「県庁の身内」になるんじゃないかな、それは大丈夫なのかな。あと、キスはつき合う前にするものなのか?? 一度目はどこでしたのか、ちょっと気になりました。