読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ハルさん 藤野恵美著 東京創元社ミステリフロンティア 2007年

 今日は娘・ふうちゃんの結婚式。式場に向かう車の中で、お父さんの春日部晴彦・通称ハルさんは、ふうちゃんとの昔の出来事を思い出す。
 ふうちゃんが幼稚園に入った頃奥さんの瑠璃子さんを亡くし、卵焼きが上手く作れなかったこと、そのために隆くんのお弁当の卵焼きが無くなった時ふうちゃんが疑われたこと、ぬいぐるみのにゃんちがいなくなってしまったこと。
 小学二年生の夏休み、ふうちゃんが行方不明になってしまったこと。
 中学二年生の時、ふうちゃんがいじめにあっているのではないかと心配したこと。
 高校三年生の時、お花屋さんでバイトを始めたふうちゃんが拾った落し物の主を探して返したこと。
 大学二年生の時、寮から帰って来たふうちゃんとゆっくり過ごすはずだったのに、ハルさんの作ったビスクドールが盗まれたかもしれない、との騒動が起きてあまり会話もできなかったこと。
 男手一つで娘を育てることに不安が一杯なハルさんに代わって謎を解いてくれたのは、思い出の中の瑠璃子さんだった。
 そして今日。結婚式当日ようやく会えた新郎の話を聞いて、今までの思い出がよみがえる。全てのエピソードが一つになって、ふうちゃんが選んだ男性を、ハルさんは祝福する。…

 旅先に持って行った一冊。あまりにすらすら読めるので、「旅行途中で読みきってしまうのでは…」「しまった、もう一冊持ってくればよかった」とはらはらしました(笑)。
 面白かった。ふうちゃんのまぁ何と可愛らしいこと! 「こんな可愛い娘が実際にいる訳ない」と思いつつ、でもこれ、娘さんのいるお父さんとか読んだら号泣ではないかしらん(笑)。だってふうちゃん、結局お父さんと似た人を伴侶に選んでるし。
 謎が解かれていくのも納得したし、ハルさんが人形作家として段々認められて行くさまも丁寧に描かれていて、すごく好感が持てました。
 さわやかないいお話でした。