読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

チア男子!! 朝井リョウ著 集英社 2010年

 男子だけのチアリーディングチームの奮闘記。
 …ええとですね、本作がお好きな方は、以下の文章は読まれない方がいいかもしれません;

 柔道の道場主の長男・晴希は大学一年生。姉や幼馴染の一馬と共に、幼い頃から柔道に打ち込んできた。しかし、負けなしの姉と較べて自分の限界を察していた晴希は、怪我をきっかけに柔道部退部を決意する。
 同じころ、一馬もまた柔道部を辞めていた。幼くして両親と死別した一馬は、あるきっかけから、大学チアリーディング界初の男子チーム結成を決意したのだ。
 晴希と一馬は、宣伝やスカウトなど紆余曲折を経て、理屈屋の溝口、内気で巨漢のトン、関西出身スポーツバカのイチローと弦という超個性的なメンバーを集める。なぜか参加を拒む体操界のプリンス翔をなんとか参加させ、目指すは秋の学園祭の初ステージ。男子チアへの冷たい視線や各メンバーの葛藤を乗り越え、7人は初ステージで大喝采を受ける。
 コーチや新たなメンバーを迎え、チームは全国大会出場へ向けて本格始動するが…。
 チアリーディングとは、こんなに激しく美しいスポーツだったのか!
 何かに一生懸命な人間の姿とは、なんて格好良いのだろう!
 著者の通う早稲田大学に実在する男子チアリーディング・チーム「SHOCKERS」に取材した、みずみずしい若さ溢れる、感動必至の長編スポーツ小説。                   (内容紹介文より)

 映画化もされたデビュー作『桐島、部活やめるってよ』の次の作品。…とかいいながら、私、『桐島~』読んでないんですけどね。
 『ウォーターボーイズ』みたいに、若手イケメン俳優集めて映像化されそうな作品。
 連想したのは初期の越谷オサム作品。王道の青春小説という意味で。で、もう一つ、あまり文章がお上手ではない、という意味でも。
 まず出だし、主人公はどっちだよ、って言うんで戸惑い、増えて行く登場人物が把握しきれず戸惑い。これは、登場人物みんなにスポットライトを当てたい、という作者の気持ちもあったんでしょうが、その分視点がうろうろした感じで「…だれのことの、いつの頃の記述?」みたいな場面もありましたし。最初の方で登場人物紹介の頁がほしかったなぁ、久しぶりに出て来る人が誰だか分からないんですよ。いきなり「ザキさん」じゃわからないんだよ、「柔道部部長」とかの説明も入れてくれないと。
 そう言えば田中芳樹著『銀河英雄伝説』で、キャラクターが出て来る度に、「豪奢な金髪にアイス・ブルーの瞳…」みたいな感じの記述が必ずあったのを思い出しました。あの繰り返しって、多い登場人物を把握させるためにかなり効果があったんだなぁ。
 一馬の隠しごとも最初の方でネタばれされてるしなぁ。最後の方はちゃんと盛り上がりはしたんですけど。
 そうそう、私、競技チアの大会のTV中継を見たことはあったんですが、会場との掛けあいが不思議だったんですよね、「観客席にも掛けあい用の人員(補欠の人とか)がいるのかしら」って。あれ、他校の競技者だったんですね。疑問が氷解したのは嬉しかったし、ちょっと感動もしました。