読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

残穢 小野不由美著 新潮社 2012年

 小野不由美、9年ぶり書き下ろし新刊。

 語り部は、著者を思わせるライトノベル作家。かつて書いていたホラー小説のあとがきで「怖い話」を募集した所、沢山の話が寄せられた。中の一件、首都近郊の賃貸マンションに住んでいた女性編集ライターからの、「部屋に何かいるような気がする」との手紙が作者の目に留まる。
 「畳の表面を何か擦るような音がする」
 布が、金襴緞子の帯が畳を擦るような音。そして作者は気が付く。そのマンションの他の部屋からも、怪異の手紙が送られていたことに。
 そのマンションは不思議なほど人が居着かなかった。マンションだけではない、同じ地区にある建売住宅さえ、人が入れ代り立ち替わりしているようだ。一体何が原因で、折角買ったマイホームさえ手放して行くのか。作家とライターは、その土地に何があったのか、土地の記憶を遡って調べて行く。…

 ああ、『悪霊シリーズ(ゴーストハント)』だ、と思いました。安原少年や森さんが課外活動的に調べていたことが独り立ちしたら、こんな風になるんだ。
 ぐいぐいと読みました。同時発行の『鬼談百景』の中の怪談もいくつか出てきたのも楽しかった。
 どこまで事実でどこまで虚構なのか。作者が体調を崩していたことは多分本当だと思うんですが、いわゆる怪談の方は。北九州で有名、という家は実在してそうで嫌だなぁ。
 穢れはどこまで広がって、いつ薄まるんだろう。いわゆる一定の喪に服す期間を過ぎてもまだまだ残ってるじゃん、しかも呼び起こしたり増えたり。際限のなさが本当、後味悪い。
 でも、私は夜眠れなくなるとかいうことが無いんだよなぁ(苦笑;)。面白かったです。