読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

夢うつつ あさのあつこ著 東京書籍 2009年

 日常の出来事とそれから思いついた小説をあわせた二本立ての短編集。
 ネタばれあります、すみません;

 くじら坂で
 やせたいという明香と、そのままでいいという俺。他愛ない喧嘩をして飛び出した明香を追って、二人ともくじら坂で車に轢かれた。以来、命日には黄色い花が供えられている。

    これ、初読ではオチに気が付きませんでした;

 まあちゃんの白い花
 光子ちゃんにそそのかされて、真由菜は花歩の悪口を書いた手紙を靴箱に入れてしまった。罪悪感でいっぱいの真由菜は、一年生の時花歩が描いてくれた自分の絵を見て、仲直りを決意する。

 レンゲ畑の空
 妻子ある男との恋に疲れ、周りの視線に疲れて、亜依子は故郷に戻ってきた。女手一つで育ててくれた母はもう亡く、亜依子を故郷に結びつけるものはないのに。レンゲ畑に寝転んで、亜依子は幼い日を思う。

 森くん
 翔は森くんが気になって仕方がない。アフリカ生まれの帰国子女なんだとか、経歴はやけに派手なのに控え目で目立たない転校生。夏休み直前の日曜日、翔は図書館からの帰りに森くんを見かけ、何となく後をつけてしまう。森くんは、自分が翔を呼んだのだという、お前が任務を忘れているから、と。

 どっちだ?
 霧の中で拾ったタクシーの運転手はひどく無愛想だった。運転手の名前を見て、邦彦は驚く。それは幼い頃、一緒に作っていた秘密基地が崩れて死んでしまった幼なじみの名前だった。

 生姜湯のお味は?
 資産家福田氏が殺された。住み込みの家政婦逸子さんと通いの家政婦文江さんが第一発見者。「かわの」と書かれた血文字が残されていたことから、福田氏の友人川野氏が疑われる。でも、文江さんは何だか腑に落ちない。何故ならあの朝、福田氏のためにと逸子さんが作った生姜湯が不味かったから。…


 人並みに腹立ちは感じるのだが、よく言えば寛容、悪く言えば意気地なく他人を許してしまう性分で、その性分のおかげで憎まれたり怨まれたりすることは一度としてなかったけれど、その性分のせいで軽んじられることはしょっちゅうだった。――身につまされるなぁ(苦笑;)。憎まれたり怨まれたりはなくても、あきれられたり嫌われることもあるんだよね;
 するすると読めました。エッセイ部分まで芝居がかってるように見えるのはサービス精神のなせるわざか。きっとこの話盛ってるよなぁ、と思ってしまう(苦笑;)。
 家政婦文江さん探偵は、シリーズ化を狙ってるのかしら。あさのさんのミステリというのは、あまりぴんと来ないんですけどね。