読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

アコギなのかリッパなのか 畠中恵著 実業之日本社 2006年

 元国会議員・大堂剛の元で雑用をこなす勤労学生・佐倉聖(21歳)が出会った相談事を描いた連作短編集。ネタばれあります、すみません;

 『政治家事務所の一日』:都議会議員選挙に立候補した、大堂の元秘書・小原和博の選挙事務所の手伝いをする聖の紹介。
 『五色の猫』:大堂の弟子で県議会議員・大石梨花が持ち込んできた出来事。後援者・羽生家の猫の色が変わるらしい。見間違いではなく、家を訪問した聖も三毛やトラ猫の猫を見る。その家の老婦人は大げさに騒ぎ立てるが、ホラー現象ではなさそうだ。腹違いの弟・拓に修学旅行用の靴を買ってやるため、聖は調査に乗り出す。
 『白い背広』:大堂の弟子で国会議員・加納聡が持ち込んできた出来事。後援会幹部・有田が頭を殴られて入院した。心霊スポットの噂まである無人の洋館の中に有田は何故入って行ったのか、有田の不良息子とは関係があるのか。弟の私立高校進学援助を条件に、聖は調査に乗り出す。
 『月下の青』:大堂の弟子・小島議員が持ち込んできた出来事。秘書・酒井が議員に寄付されたリトグラフを持って、新興宗教団体に入信してしまった。絵だけでも取り戻して欲しいとの依頼を受け、聖は弟の新しいゲーム機購入を条件に、小島議員のもう一人の秘書・真木瞳と教団本部に乗り込む。
 『商店街の赤信号』:大堂の弟子で区議会議員・菊田智彦の依頼で、聖は選挙の手伝いに行く。後援者の主母体・商店街の薬局夫婦が、旦那のダイエットでモメている。妻は夫が隠れてお菓子を買い食いしている、と主張するがどうしても証拠が押さえられない。妻側に立つ奥さん連中は、もし旦那が隠れて買い食いしていたら菊田を支持しないと言い、旦那連中は見逃してやってくれないと菊田に投票しない、と言う。拓の携帯電話獲得の為、聖が頭を絞る。
 『親父とオヤジとピンクの便せん』:ずっと行方不明だった聖の父親が現れた。動揺した聖は家を飛び出し、帰ってみると父親は拓と共にいなくなっていた。何も手に付かない聖は大堂に発破をかけられて我に返り、二人の行き先を調査する。二人は拓の母の元、病院にいた。
 『選挙速報と小原和博』:都議会議員選挙に立候補した小原と共に結果を待つ、投票日の聖を描いた一編。…

 何なんだろうなぁ、面白くない訳じゃないんだけど気に入らない。多分、キャラクターの描かれ方からきてると思うんですが。21歳の学生である主人公が常に「試されている」感じとか、つまり相手から誠実に対応されてないように思えて私には不快。兄一人に扶養されている弟くんが、何かとモノを欲しがるのも。細かいことを言うと、美人秘書・真木瞳が、聖に作って貰ったおやつなのに、自分一人で平らげてしまうところとか、「こいつ、きらい!」と思ってしまいました。…食べ物の恨みは怖いよ~(笑)。
 大堂たちが聖や拓の面倒をきちんと見て気に掛けてやっているのは解るんですが…。これは好みの問題ですね(苦笑;)。