読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

滅びの園 恒川光太郎著 角川書店 2018年

 ネタばれになってる気がします、すみません;

 職場にも、家庭にも疲れていた鈴上誠一は、気が付いたらそこにいた。中央広場駅の前、都会ではない景色が広がる。魔女が住んでいたという空家を借り、山が産む鉱石を拾って生活する。時々出る魔物を、住民と共に退治する。仮面舞踏会の夜、誠一はナリエと知り合い、結婚した。娘も産まれた。
 鈴上誠一は地球に寄生した「未知なるもの」に取り込まれ、想念の世界に生きていた。
 彼の元に、手紙が届く。地球の惨状を知らせ、彼の置かれた状況を説明し、やがて中月活連と名乗る男も現れて、この世界を壊せ、と言う。地球は今、<プーニー>と名付けられた白い餅のような物体に浸食されていた。
 相川聖子が中学一年生の時、それは起こった。二年生の時、初めて<プーニー>を見た。友人が死に、人々がプーニー化してプーニーの危険性が認知された。プーニー耐性が特別高かった聖子は、プーニー災害対策課で働くことになった。そして、プーニーキング野夏旋と出会う。
 野夏旋は、父親にプーニーを飲まされたが、異様に高い抵抗値のおかげで生き延び、プーニーを操れるようになったという。人々を救うために動いていた彼は、だが誤解も呼び、胸を撃たれて死んでしまう。後を引き継いだのは聖子だった。
 大鹿理剣は小さい頃から「突入者」マニアだった。次元転送砲で想念の世界に送り込まれる突入者、おそらく帰って来られない英雄たち。中月活連もその一人だった。理剣はおそらく日本一位の抵抗値をやっかまれ、中学の時、クラスメイトや先輩にプーニーを飲まされる。結果、プーニーを操る能力を手に入れながらも放浪の旅に出て、やがて第七次突入者に志願する。想念の世界の核を破壊するために。…


 面白かった、凄く面白かった。
 プーニーという脅威の妙な可愛らしさ、だからこその怖さ。なのに日常が続く感じ。TV放送はあるし出版物も出されるし。
 やっつけるべき対象になってしまう鈴上誠一に肩入れしてしまう不思議さ。彼が最終章で語る理屈はまさしくその通りで、彼にとって理不尽なのは至極当然。なのに罪の意識を背負わせようとする、で、その気持ちも分かる。
 でも何なんだろう、三崎亜記作品との区別がつきにくくなった感じ。多分今回、「プニ対」とか略される(…響きが可愛い・苦笑;)お役所関係が出てくるせいかな、とも思ったんですが。私の気のせいかなぁ。