読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

無貌の神 恒川光太郎著 角川書店 2017年

 ホラー短編集。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 無貌の神
赤い橋のかかる谷の向こうに、見捨てられた世界があった。そこには光り輝く顔のない神が、人を癒し、だが食い、殺されて代替わりしていた。ある日、「私」は橋の向こうから来た少年ガモウから、神を追放してこの世界から逃げようと提案される。

 青天狗の乱
江戸の終わり、「私」は伊豆に向かう交易船に乗り、島流しにあった罪人への差し入れ<見届け物>を運んでいた。ある日、「私」は老夫婦から息子への荷物を頼まれる。深川で居酒屋を営んでいた息子は、女に騙されて遠島の憂き目にあったのだとか。日用品の中の化け物の面に戸惑いつつ、荷物を届ける「私」。数年後、「私」は島であった代官一族の変死事件を知る。

 死神と旅する女
死神に見込まれた少女フジは、言われるまま77人もの人を殺す。相手も場所も、時間さえ曖昧なまま。彼女がその意味を考え始めたのは、元いた村に帰って来てからのことだった。

 十二月の悪魔
老人は影男に後をつけられたまま、白い町に辿り着いた。その中の一軒の家で、アカネと言う女に助けられ、だが彼女が暴漢に襲われているのを見捨てて逃げ出す。この白い町には何があるのか。

 廃墟団地の風人
「私」は空から落ちてきて、廃墟団地に住んでいた。ある日、ここを訪れてきた少年裕也と出会い、友達になる。自分はいずれ消滅してしまう運命らしい、とかつて同じ境遇だったという女に教えられた「私」。回避する唯一の方法は、人間を乗っ取ることなのだとか。裕也の危機に、「私」はある決断をする。

 カイムルとラートリー
崑崙虎と呼ばれる幼獣は、人に捕まり、人語を覚えた。故に皇帝に献上され、娘のラートリーの遊び相手となる。ラートリーが足が不自由で、代わりのように千里眼が使えた。カイムルと名付けられた幼獣は彼女と心を通じ、やがてラートリーはカイムルに、城を逃げ出そうと提案する。人里離れた古城で、逃亡奴隷と共に暮らし始める。…

 
 私の中で恒川さんと三崎亜記さんと山白朝子(乙一)さんの作品とがごっちゃになってきている気がする今日この頃;  いや、面白かったんですけどね;;
 特に最後の話は好きだなぁ。ラートリーが「人喰い鬼」を、自分で殺したことに驚いたし好感も持ちました。カイムルに殺させるのではなく、自分の手を汚した覚悟に。何故か『十二国記』の朱晶を思い出しました。