読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

プーアール茶で謎解きを アジアン・カフェ事件簿① オヴィディア・ユウ著/森嶋マリ訳 原書房 2015年

 英国での出版は2013年。

 シンガポールで名物カフェを営むアンティ・リーは、知りたがり屋で情深い裕福な老婦人。観光地セントーサ島の浜辺に打ち上げられた女性の遺体が知人のローラとわかると、メイドが止めるのも聞かず、探偵さながらの捜査を開始。死んだローラになりすまして、メールを送ってきたのはいったい誰なのか?
 長年、地元でたくさんの客と接してきた、人柄を見抜く達人アンティ・リーの目が鋭く光る!
 香辛料がぴりりと利いた伝統料理に色鮮やかなスイーツ――アンティ・リーが心をこめて作る料理は体を温め、癒しながら、食べる人の心にすっと沁みていく。
 そんな料理さながら、滋味豊かな推理がじわりと真犯人を追い詰める!           (内容紹介より)


 職場の別の部署の女の子が貸してくれた一冊。私からは以前、ジェイムズ・ヤッフェの『ママは何でも知っている』をお勧め作品としてお貸ししたことがあったので、多分それを受けて「私の好きそうなもの」を見立ててくれたんだろうなぁ、というのがありあり伝わって来ました。そう、美味しい料理はミステリを引き立てますよねぇ(しみじみ)。…とか言いながら、私唐辛子苦手なので、ここに描かれている料理はきっとほとんど美味しく食べられないんでしょうけど。(う゛う゛…;)

 紹介されている料理で連想したのは『精霊の守り人』シリーズ。あの一連の作品に出てくる料理と名前まで似ている感じ。あの作品も舞台がアジアっぽかったですもんね、参考にしてたんでしょうね。
 翻訳がちょっと気になったものの、面白かったです。この頃はこういう東南アジアを舞台にしたミステリが出てるんだなぁ。日本物との大きな違い、宗教がとにかく絡んでくること、同じ宗教でも解釈の違いが動機になることに、改めてへぇ、と思いました。
 我ながら戸惑ったのは、「東南アジア系の富裕層の老婦人」や「その一家」の映像がなかなか浮かんで来なかったこと。アジア系の若いメイド、ってのはすぐ思いつくんですけどね、彼女を雇う老婦人となると、ステラおばさんとかジェシカおばさん的な白人女性しか想像できない。
 自分の偏見を思わぬ形で思い知らされた一冊でした。