読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

だれも知らない小さな国 佐藤さとる著 講談社青い鳥文庫 1980年

 初出は1959年。コロボックル物語一冊目。

 小学三年生の「ぼく」は、当時流行った遊びとりもちを作る「もちの木」を探して峠山に迷い込み、奇妙な三角形の平地を見つけた。二本の大きなもちの木、椅子のように腰かけることのできる枝振りをした椿の大木、傍を流れる小川。ぼくの秘密の遊び場となったその場所は、村人からは鬼門山と呼ばれ、小さい小さい人、こぼしさまの住処だという伝説があるらしい。ぼくはそこで小さな女の子と出会い、川に流された彼女の赤い靴の中に、小指ほどしかない小さな人が乗って、ぼくに手を振っているのを見た。
 こぼしさまを見た! 興奮冷めやらないぼく。だがその後、ぼくの家は引っ越し、戦争を挟んで、ぼくの意識は小山から遠ざかっていく。
 戦争が終わって、もう一度小山を訪ねるぼく。この小山を自分の手に入れるべく、持ち主の「峯のおやじさん」と話を着け、小山の手入れを始める。やがて、ぼくの前にまた「こぼしさま」が現れた。
 こぼしさまとの交流、電気会社への就職、小山にいた小柄な女性「おちび先生」との出会い。順調に運ぶかと思われた計画だったが、やがて、新しい道路のために小山が潰されるという情報が入ってくる。
 ほぼ決まってしまっている計画を、今から覆すことはできるか。おちび先生が、以前は別ルートの検討もされていた、と知らせてくれた。ぼくの指示の下、こぼしさまことコロボックル達の行動が始まった。…


 再読。小学校の頃読んで以来です。分厚い本だった、とにかく面白かった、という印象があったのですが、今見るとそんなに長くはなかったんですね。
 読み返すと色々忘れてましたね~。広場にあったのはもちの木ではなくとちの木だと思ってたし、後半のヤマ、道路建設の変更はすっかり忘れてました。(爆!)
 間に戦争を挟んでたのは覚えてましたね。他のいわゆる戦争文学、『ふたりのイーダ』や『木かげの家の小人たち』ほどがっつりではないですが、これで妙にリアリティが増したのを、子供心に覚えてます。
 
 この作品で思い出すのは、小学校の頃の同級生の男の子。当時週一回あった図書の時間に、ずっとこの印象的な表紙を抱えていたんですよね。あの子はこのシリーズを次々読んでいたんだろうか。…それにしてもどれだけ読むの遅かったんだ、それとも同じ本を繰り返し読んでいたのかしら。この作品から他の本に興味が移ることはなかったのかなぁ、と今でもちょっと不思議なのでした。