読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

解錠師 スティーヴ・ハミルトン著/越前敏弥訳 ハヤカワポケットミステリ 2011年

 米国での出版は2009年。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 けっして動かないよう考え抜かれた金属の部品の数々。でも、力加減さえ間違えなければ、すべてが正しい位置に並んだ瞬間に、ドアは開く。そのとき、ついにその錠が開いたとき、どんな気分か想像できるかい?
 8歳の時に言葉を失ったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くことと、どんな錠も開くことが出来る才能だ。やがて高校生となったマイクは、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり芸術的な腕前を持つ解錠師になるが……
 MWA、CWAの両賞の他、バリー賞最優秀長篇賞、全米図書館協会アレックス賞をも受賞した話題作。                                              
                                          (裏表紙の紹介文より)

 書店で見かけたハヤカワ文庫70周年フェアの小冊子で紹介されていた一冊。そういえば刊行当初、新聞か何かで絶賛されていて気になってたんだった、と改めて思い出して手に取りました。

 両親を失い、伯父に引き取られたマイク。伯父が何気なく捨てた裏口の鍵、その仕組みに心惹かれ、いつしか簡単な錠なら開けられるようになっていた。高校生になって上級生のフットボール選手に目をつけられ、ライバル校のエース選手、マーシュの家に忍び込む手伝いをする羽目に。そして、マイクの人生は大きく歪むことになる。
 奉仕活動としてマーシュの家に通ううち、マイクは絵を通じてその家の娘・アメリアと心を通わせるようになる。マーシュは自身の経営不振のつけを、マイクを解錠師として売りとばすことで解消。マイクはアメリアを守るためにその決定に従う。
 伝説の金庫破りゴーストに修業を受け、マイクは金庫破りになった。何種類ものポケットベルを持ち歩き、その度に強盗の手先として呼び出される。殺人にまで巻き込まれる荒んだ日々に、マイクはアメリアへ贈る絵を描く。見せる宛のない、日記のような絵を。…


 やっぱり翻訳物は時間がかかりますね~。面白かったんですが、でも、そんなに言う程の傑作かなぁ(爆!)。
 本当はもっと盛り上がっていい筈なんですよね、考えなしの強盗グループに捕まって殺人事件に巻き込まれる所とか、自身の過去を絵によってアメリアに告白するシーンとか、トラウマになっている水に飛び込む場面とか。でも何だか、淡々、こつこつと読みました。
 確かに、自分の事業の負債をマイクに払わせるマーシュには腹が立ちましたけど。
 アメリアは待っててくれるんですね。ここも感動する場面の筈なんだけど、何故か「…こんなことあるかなぁ」みたいな感じになってしまいました。アメリアは罪の意識で待ってくれてるんじゃないか、とか疑わないかな。本当に信じられるのかな。
 自分のひねくれ具合を自覚した一作でした。