読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

竜宮電車 堀川アサコ著 徳間書店 2015年

 連作短編集。
 ネタばれになってるかも、すみません;

竜宮電車
 出勤した会社は倒産していた。社長は逃げて、共同出資者の部長は放心状態。五年間同棲中の彼女にその話をすると、彼女は出て行ってしまった。唯一の肉親である叔母は入院中で、その見舞いに行った帰り、中沢周一は偶然部長と出会う。子供が病気で手術が必要と泣く部長に、周一は叔母の通帳と印鑑を渡してしまう。

図書室の鬼
 大貫ツトムは中学三年生。見栄っ張りのママと二人で暮らしている。この間転校していった仲良しの女の子 小田ユウナが、病気で死んでしまったらしい。
 やはり両親の離婚で悩んでいたユウナの望みは、大人になったら親のいない国に行くこと。ツトムの願いは、人の悪口ばかり言う母親から離れて、よその家の子になること。でも今は、ユウナに会いたい。
 図書室にある「鬼」の字がタイトルに入った本を年の数だけ読むと、何でも願い事が叶うというおまじないの噂を聞いて、ツトムは本を借り始める。

フリーター神さま
 遠海神社祭神、神仁。人に化けて、人として自力で働いている。
 今回ハローワークで紹介されたのは、花屋さんの店員。感じのいい笑顔の店長の名は荒川景子、今度こそ長く続くかと思われたのに、勤め始めて一週間ほどで、何者かの店への嫌がらせが始まった。
 無言電話、ニセ注文、「旦那が浮気している」と書いてある怪文書。景子の中学時代の同級生・舞依は店に入り浸って、胸が悪くなるような噂話ばかりを振りまいている。神仁には、怪文書を書いたのは舞依だとわかってしまった。…


 少しずつ登場人物が重なる連作短編集。この頃こういう作りの作品多い気がするなぁ。
 上手くいかない現実をなんとかしてくれるという竜宮電車。乗るにはフリーパスがいるけれど、手に入れ方が判らない。実際に関係してくるのは一作目と三作目ですね。二作目はあまり関係がない。
 どれもするするのんびりと読めたのですが、妙に切ないし、後味もあまりよくない。自分に嫌がらせした人物と、いくら和解したとはいえ一緒に働く気になるかしら?? 「仲良しだった」中学時代の友人同士を、てれこで見間違うというのは無理がないかなぁ。
 あとがきによると作者はシリーズ物にしたいようなのですが、それをここで言っちゃうのもどうだろう。何か素直に読めなかったです。…私、疲れてるかしら;;