読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

鳴いて血を吐く 遠田潤子著 角川書店 2012年

 遠田潤子、三作目。
 ネタばれあります、すみません;

 ギタリスト・多聞のもとに、人気歌手・実菓子のロングインタビューの仕事が舞い込んだ。多聞と実菓子は幼いころ同じ家で育ち、しかも多聞の亡父と亡兄はともに実菓子の夫であった。
 多聞が見てきた自分を語ってくれたらいい、と実菓子はインタビューを拒絶する。多聞は流れのまま、実菓子との過去を思い出す。
 村の旧家・藤屋、閉鎖的で横暴な父権主義の父の元に、ある日実菓子とその母・鏡子はやって来た。村でのもう一軒の旧家・斧屋の鏡子は、藤屋の囲われ者になりながらも驕慢な態度を崩さない。実菓子に対する態度も虐待のそれで、不動と多聞の兄弟は自然に実菓子を庇うようになる。
 ひどいアレルギーに苦しむ不動は、芸術家肌の気質も相まって、その繊細さを父親に嫌われていた。母親は父と兄との間で板挟み状態、一方丈夫に生まれついた多聞は跡取りでないと言うだけでまるで構われない。やがて鏡子は出奔し、行方が判らなくなる。不動が高校に進学すると、母親も離婚して家を出て行ってしまった。やがて、父親は16歳になった実菓子と結婚し、その初夜の晩に腹上死した。
 束の間、三人の穏やかな日々。不動は実菓子をモデルにイラストを描いてネットに公開、BGMに多聞のギターと実菓子の歌を流す。それが次第に話題となり、実菓子は歌手としてデビュー。不動は実菓子と結婚し、多聞は家を出て結婚する。多聞と妻の関係がぎくしゃくし始めた頃、不動の死の連絡が入る。不動は自殺していた。
 実菓子が不動を殺したのだ、と確信する多聞。長年積み重なった虚言から、多聞は実菓子が信じられない。改めて数々の出来事を検証するうち、今まで知らなかった事実が浮かび上がって来る。…

 
 う~ん、何と言っていいものやら。
 実菓子の造形がね、妖婦に見えないんですよ、多聞はそう思い込んではいるんですが。この作家さんの前作・前々作とも、ヒロインは一途で純粋な女の子で、で、やっぱり今回もそういう風な女の子に見える。だからどうしても真相がどんでん返しに思えなくてですね。二転、三転する展開に、結局誰が本当のことを言っているのやら、という気にもなったし。
 そうそう、何故か実菓子のビジュアルがふわふわの内巻きボブヘアに思えて仕方なかったです、どうしてなんだろう。ちゃんとロングヘアって記述されてるのになぁ。