読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

舞姫 テレプシコーラ 第二部 1~3巻  山岸涼子著  メディアファクトリー

 第一部より二年。高校一年生、16歳になった六花のローザンヌ国際バレエコンクールへの挑戦が始まった。
 行きの飛行機が悪天候で遅れる波乱の幕開け。その間に語られる回想シーン、まぁ六花ちゃんしっかりしてきてること、と思いきや茜ちゃんから風邪をうつされる不運。何かにつけて心が揺れるたび、千花ちゃんを思い六花は自分を立て直します。千花ちゃん、六花ちゃんの心の支えになってるなぁ。そういえば実際に、高熱をおして踊って、本選は無理だったけど賞を貰ってた日本人の女の子いましたよね。

 ローザンヌ国際バレエコンクールは好きで、結構前からTV放映がされる度に見ていました。どのくらい前か、ということがきっぱり言えたらいいのですが、そこをはっきり覚えていないのが残念。ただ、私が見始めた時には、多分地元スイスで放送されたものをそのまま日本でも流していた感じで、解説等は通訳の人がそのまま吹き替えていた覚えがあります。やがて声優さんが吹き替えるようになり(野沢那智さんが男性アナウンサーをやってらっしゃったこともあったっけ)、日本独特の解説がつくようになり。
 何が面白いと言って、向こうの方の解説がとにかく辛口で面白かったんですよ。(ひねくれてるなぁ・苦笑;)  「ばたばたしているだけですね」「この解釈には○○(作者の名前)も驚いていますよ」ととにかく容赦ない。以前あった創作部分では、あまりの振り付けに「キャバレーではないんですから」と憤慨する一幕も。(たしかそれ以後、「振り付けの優劣が生徒の将来を左右してはならない」と、既に世界的に評価を受けている作品が課題になったんではなかったかしらん)
 その代わり褒める時にも表現が詩的で、「憂いを秘めた王子のようですね」等々、「…日本ではありえないよなぁ」という雰囲気をしみじみ感じました。「頭が大きいですね」という言葉には、「それは本人にはどうしようもないんでは…」と驚きましたし。プロのバレエダンサーとして美を追求するのは、そのくらい厳しいものだということなんでしょうけど。

 舞台上で踊るだけではなく、世界的に有名なダンサーや演出家、振り付け師にコーチしてもらえるのもローザンヌの凄いところ、というのは解説等で聞いていたのですが、こんな風に稽古をつけて貰ってたんですね。他にない独創的な発想を見せる六花ちゃん、体調の悪さをローラ・チャンにも助けられます。空美ちゃんは一体どんな紆余曲折を経て、ここまで来たのやら。これは未だに気になる所なんですけど。
 さて、いよいよ舞台へ。次巻に続きます。