読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

サイボーグ009 21・22巻  石ノ森章太郎著  秋田文庫

 21巻<神々との闘い編>
 世界各地の巨石遺跡を巡る009、宇宙人に狙われるサイボーグたち。精神的な不安要素を抱え、001はその手先になっていたギルモア博士を殺す。神々との闘いとは 『神々との闘い編』 
 些細なことから仲違いした004と002。仲を取り持とうとする007の奮闘 『サイボーグ戦士 誰が為に闘う編』
 003と天才テニスプレーヤーとの友情を描いた 『パッシング・ショット編』

 22巻<雪割草交響曲(レーバー・ブリュームヘン・シンフォニー)編>
 オーストリアチロル地方の山家に引き籠った音楽家の遺作を004が奏でる 『雪割草交響曲編』
 001のお守を頼んだベビー・シッターはメリー・ポピンズに憧れていた。でもその実態は大変に不器用な女の子で… 『ベビー・ポピンズ編』
 受験ノイローゼの少年によって檻から出されたライオンが死の間際に見た光景は 『動物園にて…編』
 009に憧れる少年。彼には兄がいたが、運動はからっきし駄目で… 『走れ!にいちゃん編』
 10人の子供たちが誘拐され、犯人から身代金の要求が来た。雪山の中、009達は救出に向かう。 『高い城の男編』
 少年が見た、自分の惑星の命運を懸けた闘い二人の戦士の闘いは 『サイボーグ戦士(ウォーリア)編』
 白人から足の速さを買われて、狩猟対象として走っていた少年がいた。独立戦争のさ中も、国が独立してからも、少年は走り続ける。 『裸足のザンジバル編』
 1992年、世界情勢を憂うサイボーグたち ‥『緊急シュミレーション1992編』…


 とうとう最終巻。どうしてこの二冊だけ各作品の初出年月が載っているんだろう; どうせなら全部載せて欲しかった。
 アーティスティックに絵柄を変えての<神々の闘い編>、石ノ森章太郎がとうとう最後まで結末を描かなかった問題作。「神々の闘い」という言葉自体は、ネオブラックゴーストが登場しですぐにちらっとは出て来ていたので、かなり前からの構想ではあったんでしょうね。でも恋人を喪うピュンマも、ギルモア博士を殺すイワンも、ジョーに「抱いて」と請うフランソワーズも、あまり見たいものではなかったなぁ。
 22巻は21巻から4年後の出版ですから、それまで全集に入れるつもりのなかった小作品をやっぱり集めました、って感じなんでしょうね。「009」で描く必要もなかったような作品もありましたし。アニメ平成版の『サイボーグ009』製作にあわせて出版されたようで。やっぱり001は最強だなぁ(笑)。

 これだけ長い間描き続けられた作品です。多少の矛盾点が出るのは仕方がない。この間TVで「不完全な作品の方が愛される」「消費者側からも補完する作用が働く」と言う言葉を耳にしました。友人も以前、似たようなニュアンスのことを、自分がパロディを楽しむ理由として上げていたような。『サイボーグ009』も、だからいつまでも愛されているのかもしれませんね。