読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

若様組まいる 畠中恵著 講談社 2010年

 明治も20年を過ぎた頃、警察学校に入った元幕臣の若様たちの活躍を描いた長編。
 『アイスクリン強し』姉妹編。

 世が世なら若殿様の身分だった長瀬たち。行く末も見えず迷っていたが、揃って巡査教習所に通うことになった。何とか試験に受かったものの、同期生たちは出自も様々。中には若様組にむき出しの敵意をぶつけてくる輩もいる。
 維新の勝者・薩摩の者や、徳川宗家と共に静岡へ行った元旗本、平民出身の成金商家の次男・三男坊などなど。寄付金やコネの有無も含め、若様組にはあまり居心地はよくない。憲法、刑法、治罪法、衛生や地理に武道全般、覚えることは山のよう。とりあえず、二ヶ月間の合宿生活が始まった。
 親友の西洋菓子職人見習い・皆川真次郎の差し入れに舌鼓をうちつつ、若様たちは教練に精を出す。福田の恋を応援したり、平民出身の姫田の世話を見る羽目になったり、そのためやはり平民出身の平田の妬みを買うことになったり、ひょんなことから見つけた屋根裏部屋で、こっそり宴会を開くことも。中には「自分は警官に向いていない」と別の意味で将来の方向性を見いだす輩も現れた。
 授業中、姫田がピストルで撃たれ、怪我を負う。やがて、巷で話題のピストル強盗と教習所との関連が疑われ始めた。本当に教習所の備蓄の弾が横流しされているのか、ならばその犯人は誰か、どうして姫田が狙われるのか。
 教習所設立に反対だった田中所長、切れ者と噂の有馬幹事、身びいきの激しい教師陣、若様たちに一目置く武道師範達。生徒達だけではなく運営者側の幕末維新の遺恨も乗せて、教習期間が終わろうとしていた。…

 私にとっては、何時の間にやら出ていた感のあるこの作品。
 …登場人物が多くてねぇ、なかなか把握しきれませんでした; 初めのページに「登場人物紹介」の欄があったので助かりましたねぇ、結構何度も見直したなぁ。まぁ教習所の話なので、無暗に削る訳にもいかなかったんでしょうが、もうちょっと整理して頂けるとありがたかったかも; 
 前作『アイスクリン~』でも目立っていた園山が今回も大活躍(?)。何か無口なイメージがあったのですが、今回よく喋ってましたね。
 へぇ、警官になるのに色々習ってたんだなぁ、とは思ったんですが、特にぐいぐい引っ張られるものはなく(←ごめんなさい、ごめんなさい;)、でもまぁすらすらと読めました。当時は警察が保健所の役割も兼ねてたんですね。
 装丁が前作と同じ方ですよね、明るくて可愛らしい。多分園山だと思われる人物が、ルパン三世石川五右衛門のようでした。…何かもっとごっつい感じがしてたんですけどね。