精神科医伊良部一郎にかかる患者の悲喜こもごもを描いた連作短編集第二弾。
空中ブランコ
山下公平(32歳)、職業空中ブランコ乗り。パートナーが内田に代わって以来、演技がうまくいかない。精神的にもイラついて寝付きも悪くなった。伊良部総合病院神経科にかかってみると、伊良部は公平の話をまともに聞くどころかサーカスに興味を示し、自分も空中ブランコをやりたいと言い出す始末。本当に練習に参加し始めた。無邪気に楽しむ伊良部の様子に、公平の意識も変わりはじめる。
山下公平(32歳)、職業空中ブランコ乗り。パートナーが内田に代わって以来、演技がうまくいかない。精神的にもイラついて寝付きも悪くなった。伊良部総合病院神経科にかかってみると、伊良部は公平の話をまともに聞くどころかサーカスに興味を示し、自分も空中ブランコをやりたいと言い出す始末。本当に練習に参加し始めた。無邪気に楽しむ伊良部の様子に、公平の意識も変わりはじめる。
ハリネズミ
猪野誠司(32歳)、紀尾井一家の若頭、尖端恐怖症の強迫神経症。包丁や爪楊枝は勿論、箸やペン先など先の尖ったものが怖い。なのに伊良部は猪野に注射針を突き立てた。ヤクザとしては致命的なこの症状に、次々と危機的状況が積み重なる。血判状はナイフが持てず、自分の女は敵組織のシマに店が持ちたいと言いはじめた。話をつけに伊良部と共に訪れた喫茶店で、猪野は相手もブランケット症候群だと知る。
猪野誠司(32歳)、紀尾井一家の若頭、尖端恐怖症の強迫神経症。包丁や爪楊枝は勿論、箸やペン先など先の尖ったものが怖い。なのに伊良部は猪野に注射針を突き立てた。ヤクザとしては致命的なこの症状に、次々と危機的状況が積み重なる。血判状はナイフが持てず、自分の女は敵組織のシマに店が持ちたいと言いはじめた。話をつけに伊良部と共に訪れた喫茶店で、猪野は相手もブランケット症候群だと知る。
義父のヅラ
池山達郎(36歳)、大学講師で附属病院勤務の神経科医、強迫神経症。野村学部長の娘婿におさまって順風満帆、なのに達郎は義父のカツラを剥ぎ取ってしまいたくて仕方がない。代償行為として伊良部はいたずらでの発散を提唱する。全王神社を金玉神社に、東大前に東犬前に、王子税務署前を玉子税務署前に、大井一丁目を天丼一丁目に、でも衝動はおさまらない。伊良部は気軽に「やっちゃえばいい」とのたまい、実際大学の昼休みにのこのことやって来た。
池山達郎(36歳)、大学講師で附属病院勤務の神経科医、強迫神経症。野村学部長の娘婿におさまって順風満帆、なのに達郎は義父のカツラを剥ぎ取ってしまいたくて仕方がない。代償行為として伊良部はいたずらでの発散を提唱する。全王神社を金玉神社に、東大前に東犬前に、王子税務署前を玉子税務署前に、大井一丁目を天丼一丁目に、でも衝動はおさまらない。伊良部は気軽に「やっちゃえばいい」とのたまい、実際大学の昼休みにのこのことやって来た。
ホットコーナー
坂東真一、プロ入り10年目のベテラン三塁手、イップス。ルーキー鈴木が入団して以来、一塁へのまともな送球ができなくなった。病院で伊良部は真一とキャッチボールをはじめ、真一は伊良部の言葉に導かれるまま、自分の動きに疑問を持ち始める。キャッチボールやバッティングも駄目になったのはすぐだった。
原因を取り除けばいい、と伊良部から無茶な提案を聞いた直後、酒に酔った鈴木がヤクザに絡む姿を目撃する。このまま放っておくか、助けるか。折しも伊良部が現れて、真一を誘う。
坂東真一、プロ入り10年目のベテラン三塁手、イップス。ルーキー鈴木が入団して以来、一塁へのまともな送球ができなくなった。病院で伊良部は真一とキャッチボールをはじめ、真一は伊良部の言葉に導かれるまま、自分の動きに疑問を持ち始める。キャッチボールやバッティングも駄目になったのはすぐだった。
原因を取り除けばいい、と伊良部から無茶な提案を聞いた直後、酒に酔った鈴木がヤクザに絡む姿を目撃する。このまま放っておくか、助けるか。折しも伊良部が現れて、真一を誘う。
女流作家
星山愛子(36歳)恋愛小説家、心因性嘔吐症で強迫症。小説を書いていると、以前書いたネタではないかと不安で仕方なくなる。3年前傑作をものにしたのに売れてくれず、以来ライトな恋愛小説でお茶を濁す日々。自分も小説を書こうかと能天気は医師に自分の名前を知らない看護婦、若手女性作家との対談では自分の“パターン”を分析され、自分のエゴが止まらない。もう作家になった気でいる伊良部を怒鳴りつけている最中、友人で映画専門雑誌の編集者中島さくらが現れ、日本の映画界を嘆く。その勢いは伊良部をも気圧し、愛子は自分の甘さに気付く。…
星山愛子(36歳)恋愛小説家、心因性嘔吐症で強迫症。小説を書いていると、以前書いたネタではないかと不安で仕方なくなる。3年前傑作をものにしたのに売れてくれず、以来ライトな恋愛小説でお茶を濁す日々。自分も小説を書こうかと能天気は医師に自分の名前を知らない看護婦、若手女性作家との対談では自分の“パターン”を分析され、自分のエゴが止まらない。もう作家になった気でいる伊良部を怒鳴りつけている最中、友人で映画専門雑誌の編集者中島さくらが現れ、日本の映画界を嘆く。その勢いは伊良部をも気圧し、愛子は自分の甘さに気付く。…
読んでて気持ちいいなぁ。普通なら伊良部にイラついてもいいのに、笑って受け入れてしまう。時々的確な言葉を吐くからかしら。伊良部自身が患者よりハマってくれるから、自分の姿を冷静に見られるようになるんでしょうね。
映画やドラマになるのも分かりますね。楽しい作品だなぁ。
映画やドラマになるのも分かりますね。楽しい作品だなぁ。