読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

虐殺器官 伊藤計劃著 早川書房 2007年

 伊藤計劃デビュー作。
 小松左京賞最終候補作品、近未来軍事諜報SF。

 9.11以降、激化の一途をたどる“テロとの戦い”は、サラエボが手製の核爆弾によって消滅した日を境に転機を迎えた。先進資本主義諸国は個人情報認証による厳格な管理体制を構築、社会からテロを一掃するが、いっぽう後進諸国では内戦や民族虐殺が凄まじい勢いで増加していた。その背後でつねに囁かれる謎の米国人ジョン・ポールの存在。アメリカ情報部・特殊検索群i分遣隊のクラヴィス・シェパード大尉はその影を追い、チェコにいたジョン・ポールの元愛人ルツィア・シュクロウプに近付く。
 戦場で多くの人間を殺しながらも、植物状態の母親の延命装置を外したことに何より憑かれるクラヴィス。ルツィアはそんな彼に赦しを与え、クラヴィスはルツィアに惹かれていく。だがジョン・ポールが二人の前に現れ、ルツィアを連れて逃亡してしまう。クラヴィスの目的は、ジョン・ポールからルツィア捜索に移った。
 彼女を追ってインドへ、そこでジョン・ポールを追い詰めることによって本国の上層部の支援者を焙り出し、しかしジョン自身は逃がしてしまって、さらにアフリカへ。いよいよジョンを逮捕しようとした矢先、クラヴィスはジョンに暗殺命令が出ていることを知る。「ジョンを裁判にかけさせて、彼のしたことを世界に知らせて欲しい」と言うルツィアの言葉を受けて、クラヴィスは上層部の命令に反し、ジョンの護衛をすることになる。
 果たしてジョン・ポールの目的とは。そして大量虐殺を引き起こす“虐殺の器官”とは。…
                                      (前半部分、裏表紙の粗筋紹介から引用しました)
 
 この著者、2009年の3月に肺癌で亡くなっているそうで。
 新聞に追悼文でもあり紹介文でもある文章が載っていて、興味を持ちました。同じような人は大勢いたらしく、予約が回ってくるのにえらく月日がかかりましたが;
 これはまた、ハードル高いと言うか何と言うか。いや、高くはないんだな、読み難い部分は飛ばしちゃえ、で通じるお話でもあるので。殺伐とした気分にはなるかも;
 最後まで読んで、連想したのは『アメリカ第二次南北戦争佐藤賢一著。…こうなるのが世界には幸せってことなのか?? 苛められっ子のいたクラスって、その子以外は妙にまとまりよかったりするもんなぁ、とあまりにもスケールの違うことを思ったりしました。