読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

バイバイ、ブラックバード 伊坂幸太郎著 双葉社 2010年

 ネタばれになってる気がします、すみません;

 借金に追われて、行き先のよく分からない<あのバス>に乗る羽目になった男・星野一彦が、付き合っていた女たち5人に別れを言いに行く。

 Bye Bye BlackBird Ⅰ
 いちご狩りで知り合った廣瀬あかり。一彦と付き合う前は、キャラクターの版権で稼いでいた男と不倫していた。何だかんだで一彦が「ジャンボラーメン大食いチャレンジ」に成功したらあかりは別れを承諾することになってしまう。そんな取り決めを一方的に押し付けたのは、一彦に付添う巨漢の女・繭美。ジャンボラーメンに一彦が取りかかった同じ頃、一組の男女が現れて、男の方が大食いにチャレンジを始めた。

 Bye Bye BlackBird Ⅱ
 霜月りさ子はバツ1で子持ちの35歳の女。一彦が警官に突然車を奪われて、道路に佇んでいた所で知り合った。りさ子は車を当て逃げされたばかり、とにかく運がついていない。せめて当て逃げ犯を捕まえようと、一彦と繭美は現場のコンビニへ行き、たまたまその場にいた男を犯人として追いかける。自分で買うほどではないけれど高級バッグが欲しかったと言う彼女のために。

 Bye Bye BlackBird Ⅲ
 如月ユミとは深夜の一時過ぎにオフィス街で出会った。明日からのバーゲンのためファッションビルに侵入するのだとロープの束を抱えた彼女を、自分も一緒に並んであげるから、と一彦が引き止めた。
 ユミはあっさり別れを受け入れて、それよりもっと気になることがある様子。繭美曰く、ユミはどこか別のマンションに忍び込むつもりだとか。部屋の中にその兆候が多々あったと言う。一彦はもう一度彼女を引き止めようと、繭美と共にそのマンションに向かう。

 Bye Bye BlackBird Ⅳ
 神田那美子とは耳鼻科で知り合った。数字や計算をこよなく愛し、語呂合わせを楽しむ彼女は税理士事務所に勤務している。一彦が別れを告げに行くと、那美子からは「自分は乳癌かもしれない」と言う告白を受けてしまった。検査結果が気になる一彦。高級バッグ店の店員に身代わりを頼むが、上手く行かない。那美子の受診当日、一彦は病院へ急ぐ。待合室には那美子が座っていた。

 Bye Bye BlackBird Ⅴ
 有須睦子は美貌と演技力を兼ね備えた本格派女優で、とあるスポーツドリンクのCM撮影現場で、一彦と知り合った。何にでも素直な反応を示す一彦に惹かれた。だから別れを告げられても承知しない。嫌だと言う彼女を、一彦はきっと放っておけないから。写真週刊誌の記者に囲まれる彼女を結果的に助けた一彦と繭美は、そのまま映画のエキストラとして撮影に参加することになる。

 Bye Bye BlackBird Ⅵ
 いよいよ<あのバス>に乗る日が来た。でも事は順調には運ばず、繭美は拉致されかかり、一彦はそれを助けようと追いかけて、でも繭美は自力で脱出し、そして繭美は<あのバス>に乗らずに済む方法を一彦にアドバイスする。…

 借金のカタに乗せられる<あのバス>の行き先ってどこ、何をさせられるの?? 何となくイメージ豪華客船「エスポワール」(©『賭博黙示録カイジ』)。
 面白かったです。五股もかけてる男なのに、一彦さん全然憎めない。ラーメンを食べるにしろバッグを買うにしろ、とにかく一生懸命で誠実で。…ってこんな人に使う言葉かしら(笑)。最終的には繭美さんまでほだされてるもんなぁ。本当、天然の女たらし(苦笑;)。
 最後に全てを繋げて終わるのかと思いきや、そこまでしておいてさらにもう一捻り。繭美さんという人物だからこその行動でしたね。でも何か、何処へ行こうとも一彦さん、この人柄で何とか切り抜けそうな気がしないでもないけれど。