読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

誘拐ラプソディー 荻原浩著 双葉文庫 2004年

 初出は2001年。

 小さい頃義理の父親を殴り倒して以来、窃盗で何度も喰らい込み、ギャンブルで借金を繰り返してきた伊達秀吉。もう死ぬしかない、と思い詰めていたところで金持ちのガキ・伝助と出会った。これぞ神のお導き、人生一発大逆転のチャンスと営利誘拐を計画。ところが伝助は新興ヤクザ・八岐組組長の息子だった。
 何も知らず身代金の受け渡し場所を転々と換える伊達。ファミリーレストランから高速道路へ、列車に乗るよう指示してと組員を振り回していたが、やがて伊達は伝助の家庭環境に気付いてしまう。八岐組を眼の上のたんこぶとするチャイニーズマフィアまで彼らを追ってきた。警察も八岐組の妙な動きに、組員をマークし始める。
 チャイニーズマフィアからほうほうの体で逃げ出して、伊達は伝助を家に帰すことにした。ところがすっかり伝助は伊達に懐いてしまい、公園で会った友達も連れて、結局ハイキングに繰り出すことに。伊達も伝助にほだされて電話口で長々と熱弁をふるい、逆探知されて居場所を突き止められてしまう。そして伊達の前に、八岐組の面々が現れた。…

 久々の荻原さん。なのに、伝助の家がヤクザと分かった途端、「…これもか」と思ってしまいました、ごめんなさい; 荻原さんの著書は発行順とか関係なくランダムに読んでるのに、どうもヤクザ絡みの作品に当たるなぁ。
 とはいえ面白かったんですけどね。当初はただのバカだった伝助に似顔絵のコツを教え、読めない文字を教えてしまう間抜けさ。伊達は伝助を幼い頃亡くした弟と重ねるし、チャイニーズマフィアのボスは自分の子供と重ねてほだされるし。この世には「愛される才能」ってのもあるんだよなぁ、と思いつつ。
 でも結局、また同じこと繰り返しそうな気もするんですけどね。今度こそ更生してほしいもんです。