読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ココの詩 高楼方子著 リブリオ出版 1987年

 ネタばれになってるかも、すみません;

 ココはモニカのお人形でした。ある日モニカが落とした金色の鍵を拾って、それでおもちゃのたんすを開けて、鳴りだしたオルゴールの音楽を聞きながら水色のワンピースを着て、外へ出て行きます。
 出会ったのはヤスと言う名の銀色のネズミ。彼の動かす白いお舟に乗りますが、ヤスはココが文無しと見てとるや、彼女をベッキオ宮殿に住むネコ・カーポに売ってしまいます。
 ヤスの迎えを待つココ。カーポや秘書のイロと一緒に暮らすうちに、彼らがどうやら美術館の絵を贋作とすり替えて売り飛ばしていることに気付きます。しかもヤスもその一味らしいのです。
 正義感あふれる優しいネズミ・モロの導きで、ココはカーポ一味の悪事を防ぐ決意をします。昼間、カーポたちの目を盗んでスパイ活動に勤しみますが、でもヤスが訪ねて来て、ココをカーポの家へ置いてきぼりにしたお詫びにと、ボート遊びに誘います。哀しくて後ろめたくてどきどきして、でも嬉しくて。結局ボートに乗ったココでしたが、そのボートは美術品を運び出すためのものでした。ココは贋作が作られる工房を見つけてしまいます。
 モロは友人・ウエムの協力も得て、ヤスを捕えます。ヤスがいなければ絵を運べません。でもそんなヤスの縄をほどいて逃がしてしまったのはココでした。いよいよ、力づくで絵のすり替えを阻止しなければなりません。ボートを壊す計画は挫折し、ココたちは美術館の中でカーポ一味を待ちます。「サン・ロマーノの戦い」の絵の前で、戦いが繰り広げられたのです。それは絵に描かれた世界とまた、重なりあうのでした。…
 
 高楼方子さんは、何となく気になっていた作家さんでした。図書館の書架の中、何故か目を引くんですよね。今回、思いきって手に取ってみてびっくり。
 …うひゃあ、これってれんあいしょうせつじゃん。
 しかも苦手なタイプの。(←得意な恋愛小説ってあるのか、自分!?・笑)
 どうしようもなく「好き」と言う感情に引きずられて、ならず者だと解っているのに何度も騙されてしまうココ。
 うわぁどうしよう、読めるかしら、と思ってたらいきなり叙事詩に。おお、目先が変わった、とほっとしてたら、…この子前世(?)でも同じこと繰り返してたんじゃん!?
 恋をして苦しい想いをして、人間になって成長して…いや、成長してるのかなぁ、確かに人間ぽくはなってるのかもしれないけど(苦笑;)。女の子は恋愛でしか成長できないとは思いませんが。
 架空の国かと思ったら、舞台がいきなり現実味を帯びて来る展開におっ、と思ったり、かと思うと絵の中に引き込まれたり、めでたしめでたしのラストではなかったり、くるくる展開する世界は面白かったです。
 でも、ココに感情移入はできないな~。