読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

夏の庭-TheFriends-  湯本香樹実著  福武書店  1992年

 始まりは、山下がおばあさんの葬式に行ったことだった。「死んだ人って重たそうだった」
 山下の言葉に、河辺が身を乗り出した。「オレたちも死んだ人が見たい!」
 …ぼくたちはひと夏の間、近所の一人暮らしおじいさんが死なないか、毎日見張ることになってしまった。
 半分剥がれた壁板、ガラスの割れた窓、ゴミの散らかった庭。三日に一度くらいのローテーションでコンビニに通い、弁当を買う。拙い尾行はおじいさんにすぐにばれた。まかれて怒鳴られてからかわれて、気難しくて汚らしい、畏怖の対象でもあったおじいさんは、何時の間にやら彼らの友達になっていた。
 ゴミ出し、掃除、洗濯物干し。庭の手入れをしてコスモスの種を撒く、家の壁を直してペンキを塗り直す。みんなで並んでスイカを食べ、おじいさんの作った打ち上げ花火に歓声を上げる。友達の意外な一面を見る傍ら、おじいさんの過去を知る。
 8月最後の週、サッカー合宿からお土産を携えて帰って来た三人は、そこで動かないおじいさんを見つけた。…
                                     (前半、見返しの紹介文をそのまま写しました)

 多分いつか読むだろうな、と思いながらも読んでいなかった作品です。
 言ってしまえば、スタンダードな作品。大体展開の察しはついてしまうので、淡々とエピソードを重ねて読ませる。
 小学生と触れあうことでおじいさんは日常を取り戻し、子供たちは家族を見直す。「見知らぬ人」にもちゃんと人格があることを知る。連絡を絶ってしまった奥さんを探し出す三人に、おじいさんは「余計なことを」と言いながらも、最後には感謝していたことを伝える。直接ではなかったけれど。
 課題図書にもなっていたようですが、その年頃の子供が読んで感銘をうけるかどうかはちょっと疑問に思いました。これは「大人が子供に読ませたい本」のような気がするなぁ。
 何故か泣けなかったのが残念。おかしいなぁ、私おじいちゃんっ子だからきっと泣ける、と思ってたのに。(←どうやらよほど泣きたいらしい)