読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

マリア様がみてる~私の巣(マイネスト)  今野緒雪著/ひびき玲音イラスト  集英社コバルト文庫  2010年

 『マリみて』シリーズ番外編。
 連作短編集。
 ネタばれになってる気がします、すみません;
 
 クラスメイトに上級生を紹介する、と言われた朝倉百。でも百にそんな精神的余裕はない。近々迫って来る母親の再婚、引っ越しの準備でくたくたで、今日も倒れて保健室へ運ばれた。家まで送る、と申し出てくれたのは一学年上の保健委員・筒井環さん。結局家まで上がり込んでおにぎりとぬか漬けまで食べて行った人懐っこい彼女は、何かと百と縁があるらしい。母親の再婚相手の近くまで行った時にも百は環と出会い、彼女に心の内を打ち明ける。‥『私の巣(マイネスト)』

 百は母親・香也の再婚相手・修人の小森谷家へ引っ越した。修人の両親とそのまた父親とその再婚相手とその娘と、一挙に大家族になって百は少々戸惑い気味。百たちがご近所に挨拶回りに行っている間に、百が持ってきたぬか漬けの甕も、小森谷家のあちこちをぐるぐる挨拶していたらしい。‥『お引っ越し(リムーヴァル)』
 
 約一週間、環がいない。修学旅行に行っているから。うるさく付きまとわれていたので正直清々すると思っていた百は、思わぬ淋しさを味わうことになる。土曜の午後の、母親の結婚披露パーティーにもあまり行く気はしなかったのに、帰って来たばかりの環は行く気満々。百も釣られて行く羽目に、でもその前におにぎりを握って。‥『一週間(アバウト ワン ウィーク)』

 小森谷家ではクリスマス・イブを祝ったことがない。環の父親が最初の奥さんのお墓参りに行く日だから。今の奥さんもそれは納得していて、でも空気はぴりぴりしてる。‥と思っていたらどうやらそれは誤解らしい。新しい家族が増えた今こそ、クリスマス・イブを祝うチャンスだ。‥『聖夜(クリスマス イブ)』

 香也の調子があまりよくない。お菓子ばかり食べてちゃんとした食事を摂らず、体調も崩して夫婦げんかまで始めた。どうやら職場に香也を敵視する後輩がいるらしい。‥『憂鬱(メランコリー)』

 帰り道、今日は環とマリア像の前で待ち合わせ。時間に遅れた環が寄っていたのは図書館だったらしい。命名用の書籍を抱えた環、一年前と同じ場所で、百と待ち合わせがしたかったようで…。‥『私たちの巣(アワ ネスト)』

 やっぱり薔薇さまたちの話の方が嬉しいな、とちらっと思ってしまいました。だってあちらはリリアンならではの話ですもんね。この話が面白くなかった訳じゃないんですけど。
 お母さんの結婚を、素直に祝ってあげられない百。母親と娘の距離感、てのは永久不変のテーマですね。もっと大人になって、というとよしながふみ著『愛すべき娘たち』になるし、もっと子供の頃、となると梨木香歩著『裏庭』になるのかな、と思ったり。今野さんの手にかかるとふんわり柔らかくなるんですよね、個性だよなぁ。環さんの空気読んでるのか読んでないのか、食欲と天真爛漫が百のくよくよを吹き飛ばす。それにしてもリリアン女学園、美人多いなぁ。
 ちらっと出て来たお馴染の顔が嬉しかったです。瞳子が元気になって行く様子は、こういう風に見えていた訳ですね。